指定暴力団山口組後藤組系の幹部らによる総額約4億円に上る絵画投資詐欺事件で、警視庁組織犯罪対策4課は10日、東京都新宿区の絵画販売会社「アートクラシックス」の実質経営者で、後藤組系幹部の佐藤幸雄容疑者(50)(新宿区市谷山伏町)ら7人を詐欺と組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで逮捕した。
被害者約460人の大半は、過去に高額の化粧品を購入させられるなどキャッチセールスの被害に遭った主に20歳代の若い女性で、同課はキャッチセールスの顧客名簿などが流出し、組織的な勧誘に悪用されたとみて調べている。
ほかに逮捕されたのは、絵画レンタル商法の統括役だった職業不詳萩原孝彦容疑者(39)(板橋区本町)ら。
調べによると、佐藤容疑者らは2005年6月、埼玉県桶川市内の美容師の女性(25)ら4人に「ホテルに絵画を貸し出せば、レンタル収入が得られる。キャッチセールスで損した分を取り戻せる」と架空のもうけ話を持ち掛け、絵画の購入名目で信販会社とローン契約を結ばせて、計470万円をだまし取った疑い。
佐藤容疑者らは、絵画を「版画シート(リトグラフ)」と称し、20枚1セットを100万円で販売、バラ売りもしていたが、同課が鑑定した結果、単なる印刷物で美術的価値が全くなく、ホテルとのレンタル契約もしていなかった。また、アートクラシックスが信販会社と加盟店契約を結んでいなかったため、信販会社と契約していた渋谷区内のブライダル会社に依頼し、このブライダル会社が客に絵画を販売したように装ってローン契約を結ばせていた。このブライダル会社は名義貸し料として販売代金の約5%を受け取っており、同課は、同社社長(43)らも共犯として書類送検する方針。