陸上自衛隊で2002年度から昨年10月末までの間に、隊員の私有パソコンから、「Winny(ウィニー)」などのファイル交換ソフトを介して情報が流出したケースは、すでに判明している4件以外に、27件あることがわかった。
防衛庁は、いずれの件数、内容とも公表していない。このうち4件は、防衛庁が昨年4月、再発防止策を発表した以降のものだった。
9日に防衛省に昇格する同庁だが、情報管理の甘さを、改めて浮き彫りにしている。
関係者によると、陸自でファイル交換ソフトを介して情報が流出したのは、02年度が1件、03年度3件、04年度3件だったが、05年度に20件と急増。06年度もすでに4件の流出が確認されているという。
流出した情報の中には、秘密文書はなかったが、「業務の遂行に支障を与える恐れがある」として「注意扱い」の教育訓練計画などの文書が計8件あった。このほか、一般の業務用データや、個人で作成・使用していた隊員や関係団体の名簿、写真といった私的な情報なども含まれていた。
防衛庁は、昨年2月に発覚した海上自衛隊護衛艦の情報流出問題を機に、約5万6000台のパソコンを緊急調達し、職場から私有パソコンを一掃、私有パソコンでの業務用データの取り扱い禁止などの抜本的対策を講じていた。
しかし、その後も流出が相次いだことで、陸自内部でも「ゆゆしき問題」と受け止められているという。
防衛庁は、「(件数を公表するだけでも)資料の検索を誘発し、流出範囲を拡大させ、ダメージを増幅する恐れがある」などとして、今回判明分についても一切公表していない。
陸自を巡っては、02年11月以降、第1師団の教育訓練データ流出や、北海道補給処、第4化学防護隊などの業務用データ流出の計4件が明らかになっている。