PS3は優れた画像処理能力などの高性能が売りだが、前評判の高かったWii(税込み希望小売価格2万5000円)への対抗から異例の発売前値下げに踏み切った。それでも低価格機が4万9980円のうえ、現時点のソフト数が十数本と少なく、売れ行きも伸び悩んでいる。一定台数が出回らないと、有力ソフト会社も製品投入に慎重になるため、再値下げを迫られる可能性も出てきた。
05年末発売のXbox360は06年末までに世界で1040万台出荷を達成。ただ国内では先行発売でライバルに差をつけるシナリオが崩れた。
現在のソフト数は100本以上で後発機を圧倒。06年末には人気漫画家・鳥山明氏らを起用したロールプレイングゲーム「ブルードラゴン」など、日本のファンが好みそうなソフトを相次いで発売した。
ゲーム機も、税込み希望小売価格2万9800円の機種を投入し、PS3に対抗。Wiiの価格にも近づけ、「安さ」もアピールしている。
テレビCMも、発売時はゲーム画面を流すだけで「何の宣伝かわからない」と言われたため、昨夏から人気グループ「TOKIO」が楽しむ姿を映すようにした。
ゲーム業界に詳しい岡三証券のアナリスト・森田正司氏は「MSはソニーの前世代機PS2の成功例をまじめに研究したのだろう。従来のゲームビジネスの基本からすれば、戦略は間違っていない」と分析する。PS2は、ライバル機種より発売を先行させて高性能をアピールし、有力ソフト会社を囲い込んだ。
だが日本では、任天堂の携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」のヒットに象徴されるように、手軽さが見直されている。「その流れは読めなかったのでは」と森田氏は指摘する。
Wiiはテレビの前で振り回す新たなコントローラーで、家族ぐるみで楽しめる世界を打ち出して流れに乗った。これに対し、高性能化路線を踏襲したPS3とXbox360が序盤戦で苦しんでいる。