「あなたが旅先で買うコピー商品の売り上げの一部が組織犯罪に使われ、知らないうちに犯罪に加担しています」。政府は先月、こんな刺激的な説明を添えたテレビCMで、海外の露店で有名ブランドらしきバッグを買う日本人女性の映像を流した。
思い切ったCMは政府の焦りを示している。キャンペーンに本格的に取り組み始めた04年度に12億円だった関連予算は、07年度予算案では23億円へとほぼ倍増した。しかし、昨年7月の政府の世論調査では「正規品より安い」などの理由で偽物購入を容認する人は45.2%に上り、04年の46.9%からほとんど変わっていない。
昨年12月13日にソウルであった知的財産権の取り締まりに関する国際会議では、有名ブランドを多く抱える欧州連合(EU)から「韓国の露店などで模倣品を買う99%は日本人旅行者。日本政府は対策を講じているのか」と強く批判された。
一方、日本企業も電子機器やゲームソフトなどで模倣品被害にあう立場だ。特許庁の推計では、中国、台湾、韓国、タイでの偽物による被害額は売り上げベースで約18兆円に上っている。
他国に善処を求める立場だけに、政府も対応に懸命だが、関係者からは「明治以来続く日本人の『舶来品崇拝』が変わらないと、状況は変わらないかもしれない」と悲観的な声も出ている。