従来のOSに比べビスタは、個人情報を守るセキュリティー機能や、メール内容を素早く検索する機能が向上。パソコンに記録した映像や画像を、ゲーム機「Xbox360」や薄型テレビに送る作業が簡単になり、家庭内の機器でデータ共有がしやすいのも特長。
パソコンの国内出荷台数は昨年四月以降、前年実績を下回り続け、特に年末商戦は大苦戦だった。消費者は新OSが搭載されていないパソコンより、価格の下がった薄型テレビに財布を開いた。調査会社BCNによると、同十二月の販売台数は前年同月に比べ約二割も落ち込んだ。
あるパソコンメーカー幹部は「昨年末の落ち込み分を、今年はビスタがきっちり返してくれないと困る」とこぼすが、実現には疑問も残る。デジタル家電需要は今年も強いとの見通しの上、ビスタの魅力を理解できるのは、画像を編集し家庭のデジタル機器に送るなど、パソコンを使いこなせる習熟者が中心とみられるからだ。
IT調査会社ガートナージャパンの蒔田佳苗主席アナリストは「メールとインターネットだけ使っている利用者は従来のOSで満足しており、積極的にビスタ搭載機に買い替えようとはしないだろう」と予想する。
かつてOS「ウィンドウズ98」は、メールとインターネットを一般消費者に広める役割を担い普及、パソコン市場は二〇〇一年まで成長が続いた。ビスタも、消費者にとって魅力的な使い道を示すことが特需の鍵となりそうだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20070107/mng_____kei_____003.shtml