安全・安心なまちづくりを呼びかけようと、加美署宮崎駐在所の田村利久所長(38)が家族と一緒に作詞・作曲した防犯ソング「みんなのねがい」=写真=が、地域で評判を呼んでいる。
田村所長は気仙沼署や県警暴力団対策課を経て、2005年4月、同駐在所に着任。初の駐在所勤務だったが、着任当初から自動車盗などが多発し、「これまでは検挙に勝る防犯はないと思っていたが、事件を未然に防ぐことこそ重要だと痛感した」。
「学生時代にかじった程度」のピアノ歴だが、地域のイベントで「『歌でも歌ってみろ』と、半ば強制される格好で」弾き語りを披露したところ大好評。「みんなで安全・安心な地域づくりに向かうきっかけになれば」と、オリジナルソングの制作を思い立った。
妻の久美子さんや4人の子どもたちの協力で完成した「みんなのねがい」は、親しみやすいスローテンポなメロディーに乗せ、「安全な地域をつくろう」「スピードのだしすぎやめてね」などと優しく呼びかける。歌は地元グループ「かみまち娘」が歌っている。
加美署でレコーディングしたCDを、昨年11月から地元の幼稚園や小中学校などに配布したところ話題を呼び、自主制作した約100枚はあっという間に“完売”。その後も、評判を聞いた山形、秋田県の観光客が、帰りに駐在所に寄ってCDを求めるなど、注文に制作が追いつかない状況だ。
田村所長は、「自由にコピーしてもらって構わないし、子どもたちに替え歌を作ってもらえればうれしい。事件・事故が1件でも減ることが、“駐在さん”の役割ですから」と話している。