上祐派は今年六月をめどに、教団から独立して新団体を立ち上げる方向で調整している。
関係者によると、上祐派のセミナーに参加した在家信者や講師役の出家信者ら計十数人が今月三日早朝、東京都千代田区の東京メトロ霞ケ関駅を訪れた。死者十二人を出した地下鉄サリン事件の現場の一つである千代田線ホームに集まり、講師役の信者が「二度と事件を起こさないと誓う」と述べ、全員で黙とう。事件概要を説明して教団の起こした犯罪であることを再確認したり、事件を描いた作家村上春樹さんのノンフィクション「アンダーグラウンド」の一場面を朗読したりした。
上祐派は、昨年十一月には富士山巡礼の途中、上祐代表ら約四十人で山梨県の本栖湖と精進湖に立ち寄った。本栖湖は、監禁致死事件で亡くなった目黒公証役場事務長仮谷清志さん=当時(68)=の遺骨が、精進湖は、修行中に急死した信者真島照之さん=同(25)=の遺骨が、それぞれ秘密裏に投棄された現場。上祐代表が「絶対にこのようなことがないよう被害者の冥福を祈ろう」と述べ、信者一人一人が菊の花を湖に投げ入れたという。
こうした上祐派と対立する反上祐派は「麻原元代表は神のような存在。われわれが勝手に事件の善悪を評価してはならない」などと主張しているとされ、上祐派は立場の違いを明確にし、中間派信者の取り込みを図る狙いもあるとみられる。
地下鉄サリン事件で、営団地下鉄(当時)職員の夫を亡くした高橋シズヱさん(59)は「アイデアマンの上祐さんは、どうすると社会の受けがいいかを考える。慰霊も被害者のためではなく、自分たちの組織の存続のためではないか。上祐さんが命じれば信者は従うだろうが、本当に一人一人が反省し、事件に向き合っていないのは明らかだ」と話している。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070106/eve_____sya_____003.shtml