国土交通省と連携して進めているダンピング排除の一環で、調査対象は04〜06年度に国交省や都道府県、政令指定市が発注した工事。大手、準大手のほか、地方の有力ゼネコンなど計数十社に調査書を送付し、回答を求めた。
公取委は昨年秋から、国交省と「連絡会議」を開催。一定基準を下回る安値で落札した場合に契約通り工事が可能かを調査する「低入札価格調査」を受けた業者について、国交省側から情報提供を受け、調査対象の企業を絞り込んだ。
個別の工事ごとの損益状況を調べるのが狙いで、期間中に受注した全工事について、落札価格や落札率、経費にあたる一般管理費、利益率などについて調べている。
工事原価を下回る価格で繰り返し受注し、他の業者に悪影響を与えていることがわかれば、公取委は警告などの処分に踏み切るとみられる。さらに悪質な事例は排除措置命令の対象にもなる。
安値落札の急増には、課徴金算定率の引き上げなどを盛り込んだ独禁法改正をにらみ、大手ゼネコンが「談合決別」をうたったことなどが背景にあるとみられる。
公取委は03〜04年にも、公共工事のダンピング入札について大規模な調査を実施し、長野県と栃木県の建設会社に不当廉売のおそれがあるとして警告している。
国交省発注の工事での予定価格の67〜85%をさらに下回る安値落札に対する低入札価格調査は、04年度は492件だったのが、05年度は942件に急増し、06年度は上半期で429件。工事の質低下や作業事故が懸念されるとして、同省は昨年末、入札での技術力評価の配点を高めるなどのダンピング排除策を打ち出した。
http://www.asahi.com/national/update/0105/TKY200701050181.html