安全保障会議を補佐する機関で、官房長官はじめ、外務、防衛、警察など関係省庁の局長クラスでつくる事態対処専門委員会が北朝鮮によるテロや武力攻撃に備えた危機管理策の一環として、03年から1年ほどかけて推計した。韓国の専門家らは、北朝鮮が無政府状態になると最終的に難民は200万〜400万人発生するとみている。日本への上陸数について日本政府の具体的な推計が明らかになったのは初めて。
関係者によると、北朝鮮東岸にある元山(ウォンサン)、清津(チョンジン)などの港湾、北朝鮮が保有する大小船舶の数などを調査。九州、中国地方を中心に10万から15万人の難民が上陸する可能性があるとした。
そのうえで、難民の日本滞在期間について、有事による騒乱状態の期間を考慮して1年程度は必要と計算した。体育館や公民館など、「日常の行政活動に重大な支障が出ない施設」を開放しても収容能力は「数万人程度」(関係者)しかない。同委員会は、国内の収容能力を超える可能性があり、第三国への移送も検討する必要があると結論づけた。推計には、韓国からの難民は含まれていないという。
北朝鮮の体制崩壊シナリオについては米国も「金正日(キム・ジョンイル)総書記の死去」「大災害」「大規模暴動」などを想定、難民数について、独自に調査しているといわれる。
このため、12月から始まった日米両政府による朝鮮半島有事とそれが日本有事に発展することを想定した共同作戦計画の策定作業では、双方の推計データなどを洗い直し、対応策を盛り込む見通しだ。