奈良県警橿原(かしはら)署の男性警部補(47)が、天理署刑事課に勤務していた2002年、捜査を通じて知り合った男(43)(服役中)が車から盗んだ拳銃を、自分の指定した場所に置かせたうえ、同署に匿名通報させて“押収”していたことがわかった。
警部補は男を逮捕せず、昨年、別の窃盗事件で逮捕、起訴されたこの男が警部補の関与を捜査関係者に告白して発覚した。県警は近く、警部補を銃刀法違反(共同所持)と虚偽有印公文書作成、同行使の疑いで逮捕する方針。男についても銃刀法違反容疑で調べる。
県警によると、警部補は02年11月ごろ、男から「奈良県内で車上狙いをして盗んだウエストポーチに拳銃が入っていた」と打ち明けられ、男に、拳銃をウエストポーチごと天理市内のパチンコ店駐車場の草むらに置くよう指示した。
そのうえで、拳銃の存在を知らせる匿名電話を天理署にかけるよう依頼し、同月12日夜、男が「パチンコ店駐車場に変なものが落ちている」と通報。この電話を同僚が受け、宿直勤務だった警部補が拳銃を発見し、押収した。
同署はウエストポーチに入っていた免許証などから、03年1月、土木作業員を銃刀法違反(所持)容疑で逮捕した。土木作業員は「盗まれた」と供述した。警部補は匿名通報で拳銃を発見したように偽って、捜査書類を作成していた。