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2007年01月04日(木) 00時00分

人民軍に影響受けず独自に北を支配できる人物は?ZAKZAK

 韓国の国会情報委員会が外部研究機関「平和財団」に依頼して作成した報告書「北韓(北朝鮮)の危機管理体制とわれわれの対応法案」は、金総書記に異常が生じるなどの非常事態が発生した場合、労働党の呉克烈(オ・グクリョル)作戦部長(75)が当面の事態を把握する可能性があると指摘する。

 報告書は呉部長が他の軍指揮官と違って、党の干渉を受けない独自の指揮権限を与えられているため、最も早く軍を動員しやすいとの見方を根拠として示している。

 北朝鮮情勢に詳しいジャーナリストの惠谷治氏は「序列は20−30番と高くないが、工作員ら1万5000人くらいの別動隊を動かせる」とみる。

 「コリアレポート」の辺真一編集長は「人民軍の元総参謀長で現在は作戦部長。軍にも党にも力がある。何より毛並みがいい」と評する。

 「呉部長の父・呉仲洽(オ・ジュンフプ)氏は金総書記の父・金日成主席の革命同志で、命を賭して主席を守ったことから現在も北では英雄視されている」(辺氏)

 金総書記と一緒に育てられ、革命遺児や高位幹部の子弟のみが入学できる万景台革命学院でも同期生。ソ連空軍大学に留学し、空軍司令官、人民軍大将などを歴任した軍事エリートで、金総書記とは今も酒友だちとされる側近中の側近だ。

 89年に作戦部長のポストに就き、拉致、暗殺、爆破などを指揮。金王朝ファミリーながら韓国に亡命した李韓永氏をソウルで暗殺した97年の工作を主導したともされる。

 子息が米国に亡命するという“スネの傷”も持つが、それでも将軍さまの信頼を失うことはなかった実力者だ。

 有事の際、金総書記の息子らはどんな動きをみせるのか。

 惠谷氏、辺氏ともに息子らが事態を掌握するだけの力は「まだない」とみている。

 惠谷氏は「金総書記に何かあるとすれば、外部からではなく内部のクーデター。その場合、息子らは中国経由でスイスやフランスに亡命するのでは」との見方を挙げる。

 一方、辺氏は「呉部長が息子の誰かを担いで正当性を主張する可能性はある」と話している。

ZAKZAK 2007/01/04

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_01/t2007010415.html