救済策づくりに先だって、政府・与党は06年度末から実態調査を始める。対象は認定申請者や医療費が支給される「新保健手帳」の交付者ら1万数千人。潜在患者が多数いるとの指摘もあるが、「時間がかかる」(園田座長)として掘り起こし調査はしない方針。
調査結果をもとにまとめる救済策は、260万円の一時金や医療費、療養手当を柱とした、95年の政治決着の条件が基本線になるとみられる。
園田座長は「95年も最後にするはずだった。今度こそ(最後に)したい」としており、一定の基準を示した上で訴え出た全員の救済を検討するという。一方で、「救済策が不服で裁判に訴える人が出ても、もう我々の手には負えない」と述べ、難色を示す団体などが対象から外れても、やむを得ないとの考えだ。
これに対し、損害賠償を求めて国などを訴えている原告側の園田昭人弁護団長は「国や熊本県の責任や水俣病の病像をあいまいにした救済策では納得できない被害者が確実にいる。調査で全容解明しなければ、政治決着と同様に、潜在患者が積み残されてしまう恐れもある」と反発する。
プロジェクトチームは昨年6月、政治決着と同等条件の解決策を被害者団体に打診。だが、訴訟を起こしている団体(約1700人)が拒否するなど、全面解決路線は行き詰まっていた。