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2006年12月31日(日) 18時54分

信用保証制度悪用 22億円詐欺容疑で暴力団幹部立件へ朝日新聞

 山口組系暴力団幹部が03年から4年間に、中小企業を対象にした「信用保証制度」を悪用して東京や神奈川、大阪、愛知、福岡など9都府県の金融機関から約200件、総額22億円近くをだまし取っていた疑いが強まったとして、神奈川県警は来年1月にも詐欺容疑で立件する方針を固めた。営業実態のない会社を使い、各地の信用保証協会に偽の確定申告書の写しを提出して債務保証を取り付けていたという。

信用保証制度の仕組み

 県警は今年10月、神奈川県信用保証協会に営業実態のない建設会社の偽造確定申告書を提出して債務保証を受け、相模原市内にある信用金庫の支店から計約5500万円をだまし取ったとして、山口組系暴力団幹部の土屋賢治被告(57)=詐欺罪などで起訴=と、別の暴力団幹部の男(39)=同=を逮捕した。

 この捜査の過程で、土屋被告の関係先から偽造された確定申告書数百枚を押収。土屋被告らが、各地の信用保証協会から債務保証を受け、金融機関から融資を受けていたことを突き止めたという。確認中の融資もあり、被害額は50億円近くになるとみられている。

 さらに、土屋被告が、業績が悪いために融資を受けられない中小企業に不正融資を受ける手口を指南し、融資額の1〜3割を手数料として受け取っていたケースがあったことも分かったという。

 信用保証協会の債務保証を受けるには、中小企業側は納税証明書、税務署の収受印が押された確定申告書の写しなどを提出する。

 押収された偽造確定申告書には、市販の複写機を使って偽の収受印が印刷されていたという。

 信用保証制度による融資では、金融機関の審査を受けるが、金融機関にとっては貸し倒れリスクが低いため、審査が甘くなるとの指摘がある。土屋被告が起訴された事件でも、被害に遭った信用金庫が融資先の事務所を訪問したのに、営業実態がないことを見抜けなかったという。

 信用保証協会をめぐっては、国が貸し渋り対策として30兆円の特別保証枠を設定した際も多額の焦げ付きが発生し、暴力団による詐欺事件なども多発した。主に書面だけで済ませていた協会の審査の甘さに批判が出たことから、協会側は保証先に出向いて調べるなど審査を厳しくしたとしているが、結果的に詐欺被害を食い止められなかった形だ。

 県警などによると、昨年以降、信用保証制度を悪用した暴力団による詐欺事件は神奈川県で3件、兵庫県で4件、徳島県で1件が相次いで摘発され、立件された被害総額は計約1億4000万円。いずれも山口組系暴力団によるもので、神奈川県警幹部は「協会と金融機関のチェックの甘さが、事件の温床になっている」としている。

http://www.asahi.com/national/update/1231/TKY200612300226.html