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「飲酒ひき逃げは、殺人に匹敵する行為です」。厳罰化を求める遺族団体の共同代表、佐藤悦子さん(55)=大分県国東市=はこう、断言する。
二十四歳の二男が飲酒運転車にはねられ、亡くなった。逃走した犯人は数時間後に出頭したが、体のアルコール濃度は下がっていたとみられる。判決は業務上過失致死罪などで懲役三年。その軽さに、がくぜんとした。
より厳しい危険運転致死罪の適用を望んでいたが、警察から「『正常な運転が困難な状態』とは立証できなかった」との趣旨の説明を受けた。
「犯人は逃げて得をした」と憤りが募った。
警察庁によると、昨年のひき逃げは約一万九千七百件で一九九五年の約三倍。急増の原因として指摘されているのが、二〇〇一年に制定された危険運転致死傷罪の影響だ。
悪質な飲酒運転などで事故を起こしたケースに適用され、被害者が死亡した場合の最高刑は懲役二十年。これに対し、業務上過失致死傷とひき逃げ(救護義務違反)の併合罪の上限は懲役七年六月だ。全国交通事故遺族の会(東京)は「危険運転致死傷罪の適用を免れるため、飲酒の痕跡を消そうとして逃走が増えている」と指摘してきた。
今回の試案で、現場から逃げた救護義務違反の罰則は「懲役五年以下」から「十年以下」に強化。事故そのもの(業務上過失致死傷罪、五年以下)より重くなり、併合罪は「十五年以下」となる。
しかし、遺族の会理事の片瀬邦博さん(64)は「それでも(危険運転致死罪の適用を免れる)“逃げ得”の問題は残ったままだ。さらなる厳罰化に向け、活動は続けていく」としている。
■宴会一緒ならアウトも
道交法の改正試案には飲酒運転の同乗者に罰則が盛り込まれた。ただ、具体的にどのようなケースで処罰の対象になるのかについて明確になっておらず、警察庁は検討を急ぐことにしている。
現在、明らかに処罰の対象になると想定しているのは、同じ宴会に参加して運転者が酒を飲んだことを知りながら、車に同乗したような例。運転者に対して、「自宅に送ってほしい」などとはっきりした働きかけがなくても対象となりそう。
一方、飲酒運転を知らずに知人の車に乗り、車内で酒のにおいに気付いた場合については、同庁は「同乗者の責任を問うのは酷ではないか」との立場。また、一緒に飲酒はしていないものの、運転者の言動から酒を飲んだことがうかがわれるのに同乗したといったケースなどの扱いは、まだ定まっていない。
バスやタクシーを利用した際は、運転手の飲酒の事実が乗車まで判断できないとして、罰則の対象にならないという。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20061228/eve_____sya_____005.shtml