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2006年12月28日(木) 00時00分

機微な対応、被害防ぐ朝日新聞

 今年も残り少なくなった。振り込め詐欺や強盗など犯罪が相次いでいる。そんな師走にこんな出来事があった。一つは上田市で、銀行員の機転で「振り込め詐欺」の被害から間一髪のところで防いだ。もう一つは東御市で、会社員らの連携プレーで「車上狙い」の容疑者を逮捕した。27日、上田署から感謝状が贈られた。(高田純一)
 贈られたのは、「長野銀行三好町支店」(上田市中之条)の職員。そして印刷会社「サンコーフォームズ」(東御市)の社員で、依田聡さん(27)、藤沢英輝さん(32)、吉原貴洋さん(28)。
 上田市内で12日から14日にかけて、「会社の金を使い込んだ」と息子を装い、示談金を親からだまし取る振り込め詐欺事件が相次いだ。被害総額は約1700万円。
 15日、長野銀行三好町支店は、年金の振込日で混雑していた。無職の女性(59)がせっぱ詰まった様子で訪れた。
 女性は息子を名乗る男からこんな電話を受けていた。「会社の金で上司と株投資をして失敗。監査が入り、今日中に430万円を部長と折半して埋めないといけない。口座は部長の奥さん名義」。
 女性は、半額の215万円を振り込むため、定期預金を解約する書類を窓口に提出。
 同支店によると、定期預金を解約する場合は使い道などを聞く決まりで、職員は、慌てる女性を不審に思った。上司に報告、いすに座ってもらい落ち着いて事情を聞いた。この間、息子と連絡が取れ、偽電話だとわかった。
 代表で感謝状を受けた支店長の原田博さん(50)は「女性は解約の理由に口を閉ざした。それが(振り込め詐欺と分かる)決め手だった。本当に信じ切っていた」と話した。
 一方、車上狙いは19日、同社の駐車場で起きた。依田さんが、同僚の軽乗用車のカギをあけようとしている容疑者の男を見つけた。藤沢さんが逃げようとする男の顔と車のナンバーを携帯電話のカメラで撮影、吉原さんが軽乗用車を所有する同僚を呼びに行った。この写真が動かぬ証拠となり、現場に駆けつけた同署員が車のナンバーから割り出し、男は同日逮捕された。
 藤沢さんは「とっさの行動だったが、同僚の車が壊されなくてよかった」と話した。
 上田署の宮尾仁副署長は「それぞれ冷静沈着で、的確な対応によって未然に防ぐことができた」と話している。

http://mytown.asahi.com/nagano/news.php?k_id=21000000612280003