2006年12月18日(月) 18時56分
日興CG、05年3月期にさかのぼり決算を訂正(ロイター)
[東京 18日 ロイター] 日興コーディアルグループ<8603.T>は18日、2004年にグループ会社が発行したEB債(他社株転換社債)について、発行時期の改ざんと評価益の不適正な処理があったため、05年3月期と06年3月期の連結決算をそれぞれ訂正すると発表した。このため有価証券報告書に虚偽記載が発生し、証券取引法に基づき課徴金が課せられる可能性があることを明らかにした。
経営責任を取って、日興CGの金子昌資会長と有村純一社長は月額報酬を半年間50%カットする。
平野博文執行役はグループ取締役の辞任と月額報酬の50%カットを発表したが、不適切な会計処理に関わったグループ投資会社である日興プリンシパル・インベストメンツ(東京都千代田区)の会長職には留まる。
日興は、会計処理の訂正により、05年3月期連結決算の経常利益を777億円から588億円に、同当期利益を469億円から351億円にそれぞれ下方修正。06年3月期決算の経常利益を1678億円から1688億円に、同当期利益を963億円から967億円に上方修正した。
問題となったEB債は、グループ投資会社の日興プリンシパル・インベストメンツ(NPI)が、コールセンター大手のベルシステム24を買収するために設立した特別目的会社(SPC)のNPIホールディングス(NPIH)によって、NPIを引受先として発行された。
しかし、当初の手続きでは8月4日付で発行を決議したにもかかわらず、実際の発行は9月に入ってから行われていたことが、昨年末から実施した社内調査で判明した。会見したグループの財務担当・森田收執行役によると、内部の取締役会の議事録のほか、EB発行に関わる発行要綱の書類も「日興プリンシパル社内の平社員によって、あたかも予定通り発行されていたかのように改ざんされていたことが判明した」。
日興CGはベル24の買収のために、会計上のルールであるベンチャーキャピタル条項に基づく「投資育成の目的」で設立したSPCを活用したほか、EB債の発行で約145億円の会計上の利益を計上していたが、EB債の発行自体で関係書類の改ざんがあったことから、同条項に基づいて利益を計上することも適当でないとの判断に至ったと説明。最終的にEB債の発行体であるNPIHをグループの連結対象に加えて処理したために会計上計上していた利益も相殺されることになり、今回の過去決算の訂正に至った。
東京証券取引所は18日付で日興CGの株式を上場廃止の恐れがあるとして、監理ポストに割り当てたと発表した。
上場企業と証券市場の仲介役を担う証券会社が過去決算を訂正することになった責任について、日興CGの杉岡廣和副社長は会見で「信頼回復に向けて努力する」と述べた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061218-00000114-reu-bus_all