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携帯電話と携帯情報端末(PDA)の機能を融合した「スマートホン」が、個人向けに相次ぎ売り出されている。元は法人向けに開発、販売されたもので、キーボードを搭載し、スケジュール管理や長文メールの作成が容易にできる特徴がある。ブログ(日記風ホームページ)やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などの利用に使い勝手が良いと、最近は、若い世代を中心に個人の需要が高まっている。(河野越男)
ウィルコムが先行
個人向け国内市場で先行したのは、簡易型携帯電話(PHS)最大手のウィルコムだ。
「W—ZERO3(ダブリュー・ゼロ・スリー)」(シャープ製)は、米マイクロソフト社の基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の携帯電話版を搭載した点が人気を集め、昨年12月の発売以来、今年4月までに15万台が売れるヒット商品となった。今年7月には、後継機種「W—ZERO3 es」を発売し、両機種の販売目標を50万台としている。
今月には、移動端末向けの地上デジタル放送「ワンセグ」を視聴できるように外部チューナーを売り出した。FM放送局と提携してネット上でラジオ放送を受信できるサービスも始めた。
ワード、エクセルも搭載NTTドコモは今年10月、「hTc Z(エイチティーシー ズィー)」(台湾・HTC社製)をインターネットで個人向けに販売し始めた。
7月に法人向けに売り出したところ、個人からの問い合わせが相次ぎ、販売に踏み切った。価格は7万3000円前後で、携帯電話と比べ高額だが、販売は順調という。
人気の秘密は、キーボードを搭載しつつ、ポケットに収まるコンパクトさにある。ノート型パソコンやPDAとの差別化を図るため、「携帯電話として使いやすい大きさに仕上げた」(ドコモ)としている。
パソコンのように「ワード」や「エクセル」など、文書ファイルの閲覧ができるほか、メールの添付ファイルも受信・転送ができる。公衆無線LAN(構内情報通信網)を利用でき、海外での通話や通信も可能だ。
ソフトバンクモバイルも10月、「X01HT」(HTC社製)を個人向けに発売した。動画や音楽情報を取り込む通信速度が、第3世代携帯電話に比べ5倍速いというのが「売り文句」だ。このサービスは現在、東京23区や全国の政令指定都市で提供しており、範囲を順次拡大していく。
国内での本格普及はこれからスマートホンは元々、海外の法人向け市場の規模が大きい。
カナダの携帯情報端末大手リサーチ・イン・モーション社製の「ブラックベリー」は、北米を中心に約600万のビジネスマンが利用する人気機種だ。送信データの暗号化など、企業情報の漏えい防止機能などが充実している。ドコモはこの機種を、9月から国内の法人向けに売り出した。
ただ、国内でのスマートホンの普及は、法人・個人向けともにこれからだ。民間調査機関が11月に実施したネット調査では、携帯電話・PHSの利用者でスマートホンを「所有している」と回答した人は、1・4%だった。
KDDIは「スマートホンはニッチ(すき間)市場」(小野寺正社長)として当面、発売予定はない。携帯電話で、パソコン向けサイトを閲覧できるようにするなど、機能向上を図る方針だ。
国内メーカーも、PDAに強みを持つシャープなど一部に限られ、スマートホン市場の成長性については見方が分かれている。