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「私を主演に映画を撮って!」
映画出演を直談判するブログのドキュメント映像が人気を呼び、テレビ出演、DVD発売へとこぎつけたのが女優の原田佳奈さん(24)。大学卒業から2年半、「就職活動は主演女優になること」と決心した“就活女優”を夢に近づけたのは、コネでもカネでもなくブログだった。
試しに検索エンジン「グーグル」に「就活」と入力し、「Enter」キーを押していただきたい。11月10日時点では、検索順の9番目が、原田佳奈さんのブログ「就活女優ハラカナ(http://www.nizoo.com/shukatsu/)」である。どんなキーワードであれ、グーグルで10位以内の検索結果になるのはとてつもなく難しい。日本で登録されているブログの登録者数は3月末の時点で868万(総務省調査)にもなる。さらにはブログ以外のサイトも合わせると、浜の真砂のような無数のサイトが電脳空間にひしめき合っているからだ。
このアクセス数の高さにテレビ局が注目、今年の夏にテレビ番組に出演したころから、にわかに身辺が慌ただしくなってきた。雑誌、新聞などからの取材が相次ぎ、活字、電波メディアへの露出が増えると同時にブログも新たな読者を獲得。1日のアクセス件数が以前の3倍、10万件にも上るようになった。
サイトの人気が電波、活字メディアに飛び火し、他メディアへの露出がブログのアクセス数を押し上げる相乗効果が生まれたわけである。
「じわじわと(ブログへの)アクセスが増えていった感じです」
東京女子大卒業と同時にスタートした2年半の“就活”ブログへの反響を原田さんはこう振り返る。
そもそもブログを開いたのは、「女優活動への共感を持ってもらえればいい」という軽いノリから。とはいえ、ブログをデビューの道具に使う女優やタレントの卵は、ネット全盛の今のご時世では、珍しくない。
なぜこれだけの人気が出たのか?
コンテンツと検索語が勝因「コンテンツに魅力があり差別化できたから」と分析するのは所属事務所JFCT社長の日高広昭さん。
「制作費3万円で3分間の映画を作って。しかもノーギャラで」。どなりつけられそうな無理難題を引っ提げ、映画監督と交渉。原田さんはその様子を自ら家庭用ビデオカメラで撮影・編集、ブログにアップした。幾多の門前払いをくらいながらも、前向きに懸命に努力する姿は反響を呼んだ。
日常を書きつづった身辺雑記よりも、体当たりのドキュメンタリー映像の方がはるかに面白い娯楽作品であるのはいうまでもない。
加えて、タイトルにある「就活」が検索キーワードとして秀逸だった。就職活動は、ほとんどの大学生やリストラされたサラリーマンたちにとって一生を左右する関心事である。ネットで情報を得ようと検索をかけると、原田さんのブログもひっかかることになる。「俺も(就職面接で)落ちたよ」という励ましの書き込みがたくさんあったという。女優を目指す原田さんの姿は同志でもあり、癒やしでもあったのだ。
検索エンジンでの表示順位を高めるための技術SEOでは、サイトのタイトルにアクセス効果の高いキーワードを入れることが効果的としている。ブログのタイトル、「就活女優ハラカナ」は図らずもSEOを正しく実践していたといえるのだ。
原田さんの出演映画は15本にもなり、それらをまとめたDVD「就活女優ハラカナ」(ポニーキャニオン)も9月に発売された。就職活動は成功だったのか?
「ある意味成功でした。でも女優の就活には終わりはありません。これからもブログでいろんなことを発信していくつもりです」
何事かを成し遂げたい。けれどカネもコネもない、という方には、原田さんのようにブログの活用をぜひともオススメしたい。ただし、内容が面白いことが大前提だが。( 林 宗治・編集部/2006年11月24日発売「YOMIURI PC」2007年1月号から)
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