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2006年12月13日(水) 02時04分

12月13日付・読売社説(1)読売新聞

 [貸金業法改正]「借り手の『安全網』構築も急げ」

 法改正を多重債務問題解決の第一歩にする必要がある。

 消費者金融などの上限金利を引き下げ、過剰貸し付けを禁止する改正貸金業法が、きょう13日にも成立する見通しだ。

 現在年29・2%となっている出資法の上限金利を、3年後をめどに利息制限法の上限の年20%へ引き下げて、二つの上限の間の「灰色金利」を撤廃する。

 貸金業者に借り手の返済能力の調査を義務づけ、総借入残高が年収の3分の1を超える借り手への貸し付けは禁止するなど、貸付金の総量規制も導入する。

 軽い気持ちでした借金の返済に困り、新たな借金を繰り返す。多重債務者を生む大きな原因が、高金利と安易な貸し付けだ。法改正の効果に期待したい。

 ただ、これで十分とは言えない。総合的な多重債務対策が必要だ。

 政府は、対策本部を設置して取り組みを進めるという。多重債務者の法的支援のため、地方自治体や日本司法支援センター(法テラス)などによるカウンセリング体制の充実が急がれる。

 金利引き下げで貸金業者の審査は厳しくなる。それで借りられなくなる人が、ヤミ金融に走らないように、セーフティーネット(安全網)を整備すべきだ。だが、政府系金融を活用すべきかどうかなど、公的負担のあり方には、関係者の意見が分かれる難しい問題もある。

 貸付金の総量規制を機能させるには、借り手の借金残高の正確な把握が欠かせない。改正法は、業者が信用情報機関に顧客情報を登録し、貸し付ける際にはその情報を照会する制度を盛り込んだ。

 複数の信用情報機関の間で、正確で新しい情報が円滑に交換できるよう、システムを整備する必要がある。情報が外部に流出し、ヤミ金融の勧誘材料などに使われることを防ぐため、安全性も十分に確保しなければならない。

 改正法により、これまで法人でも500万円だった貸金業者の最低純資産額が5000万円に引き上げられる。廃業する業者も多く出そうだ。

 金融庁は、廃業者が債権を譲渡する場合には譲渡先の業者名などの届け出を義務づける。ヤミ金融などに譲渡され、借り手が悪質な取り立ての被害にあわぬよう、業者への検査権限を持つ都道府県や警察と連携して、万全を期したい。

 一方、純資産額規制の強化で、市民活動を支援するNPO(非営利組織)バンクの事業継続が困難になるとの指摘もある。ヤミ金融がNPOを装うことには、厳しい監視が求められる。しかし、まっとうなNPOは規制の対象外にする工夫は、考えてもよいだろう。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20061212ig90.htm