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≪携帯電話の使用が脳腫瘍や聴神経腫瘍などの発症リスクを高めることはない≫。デンマークのがん協会などの研究チームは米医学誌にこんな研究結果を発表した。
調査は1982年から95年の間に携帯電話を使い始めた約42万人が対象。2002年までの平均8年半分のデータから作成された。
昨年のオランダ保健審議会、1月の英国ガン研究所の調査も因果関係を否定している。
国際がん研究機関への参加国である日本も、平成12年から16年にかけて調査を実施。担当したのは総務省総合通信基盤局電波部電波環境課だ。
「調査は使用メーカー、機種、使用パターンなどいくつかの調査事項を国際的プロトコール(規定)とし、427人を対象に行った」(関係者)という。
結果については、「来年の発表を目指している」として明言は避けたが、「(デンマークの)結果と似たようなものになる」(同)見込み。
「電磁波」への不安は払拭されたようにうつるが、9カ月前には、スウェーデンでまったく逆の調査結果も出ている。
悪性脳腫瘍の診断を受けた20−85歳の905人を調査した結果、携帯電話の通算の使用時間が2000時間を超えるヘビーユーザーは、≪側頭部に悪性腫瘍ができるリスクは240パーセント高かった≫と結論づけたのだ。
一体どちらが本当なのか…。「調査のやり方を検証する必要がある」と指摘するのは、電磁波問題に詳しい慈恵会医科大教授の清水英佑氏。
「調査の主流になっているのは疫学調査と呼ばれる方法。この手法は偏りが出やすいので、結果の判断や評価には慎重を必要とする」
疫学は病気の発生原因や分布を、統計的な手法によって調査する方法。全体の傾向を知る上で役に立つが複雑な因子がからむ調査には不向きだ。
清水氏の行った培養細胞を使った実験では、「抗ガン剤などの化学物質を投与した細胞と、通常の細胞では前者の方が電磁波による影響を受けやすいという研究結果が出た」という。
「携帯電話の電磁波は電子レンジに近い周波数である。携帯電話の普及がここ10年あまりであることを考えると、今までの結果だけを見て答えを出すのは早計」だと危惧(きぐ)し、「今後も継続的な調査が必要だ」と指摘する。
『影響なし』という答を出したはずの英国の研究機関だが、昨年1月には、不可解な警告が同国の独立機関から出ている。「8歳以下への携帯電話の使用は危険」という通達だ。いずれにせよ、白黒つくのはもっと先になりそうだ。
ZAKZAK 2006/12/12