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検察側は罰金二十万円を三人と三菱自にそれぞれ求刑。被告側は二〇〇四年九月の初公判から一貫して無罪を主張している。
同社の欠陥車をめぐっては三つの刑事裁判が同簡裁と横浜地裁で審理されており、最初の判決として注目される。
起訴状などによると、車輪と車軸をつなぐ金属部品のハブが折れ、脱落したタイヤが歩行者を直撃した〇二年一月の「横浜母子三人死傷事故」をめぐり、被告側はハブの強度不足が疑われたのに「原因はユーザーの整備不良による異常摩耗で、摩耗量〇・八ミリ以上のハブを交換すれば、耐久寿命を確保できる」と国土交通省に虚偽の報告をしたとされる。
■『娘をあの場所に戻して』
「いろんなことがよみがえってくる。五年がたっても…」。二〇〇二年一月十日に横浜市瀬谷区で起きた事故で亡くなった神奈川県大和市の主婦岡本紫穂さん=当時(29)=の母親増田陽子さん(57)の悲しみは、今も癒やされることがない。
県道を走っていた三菱自動車製大型車から脱落したタイヤ(約百四十キロ)が坂道を約五十メートル転がり、歩いていた紫穂さんの背中を直撃。紫穂さんは死亡し、長男=同(4つ)=と二男=同(1つ)=が負傷した。
「事故を見たわけじゃないのに、その様子を想像してしまって。私が助けてあげられればよかった、かばってあげられなかった」と増田さんは涙ぐむ。
現場付近をあえて今でも通っているという。紫穂さんの思い出が残っているからだ。車の増田さんを、歩道の紫穂さんと子供たちが見つけて手を振ってくれた場所。「私はまだあそこに娘がいるんじゃないかと思っている。娘をあの場所に戻してほしい」
三菱自側から謝罪があったのはリコール直後に三菱ふそうのドイツ人社長が訪れた時だけ。「一個人の死なんて、関係ないと思っているんじゃないですか」と三菱自を批判する。
裁判を傍聴中に、責任逃れとも受け取れる被告らの言葉に耐えきれず、法廷を飛び出したこともあった。それでも「娘のために、見届けてあげたい」という気持ちで足を運び続けている。
十三日の判決も「だれが、どんなうそをついたのか」を聞くために傍聴に行くつもりだ。九日に横浜市旭区の霊園で紫穂さんの墓参りをした増田さんは、こう語りかけた。「判決が終わったら、また来るね」 (横浜支局・佐藤大)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20061212/mng_____sya_____004.shtml