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住基ネットをめぐる訴訟では、11月30日に大阪高裁で住民側勝訴の判決が出ており、高裁レベルで判断が分かれる格好になった。
判決はまず、住基ネットで扱う氏名、住所、生年月日、性別などの本人確認情報の利用について「公権力が私生活情報を広範囲に収集し、個人を把握・監視することが可能となり、市民運動への参加など国民の言動を萎縮(いしゅく)させるおそれがある」と述べ、同情報が憲法13条が保障するプライバシー権の保護対象になると指摘した。
そのうえで、同情報を利用することの妥当性について検討。住基ネットの目的は住民サービス向上と行政事務の効率化という「公共の福祉」に沿っており、目的以外の利用は住民基本台帳法で禁じられていると指摘し、プライバシー権を侵害しないと判断した。
さらに、一部住民が住基ネットから離脱することは、全住民の情報がシステム上で利用できるという住基ネットの前提が崩れ、重大な支障をもたらすとも指摘。情報漏洩(ろうえい)へのセキュリティー対策については「技術、運用面の対策が講じられており、漏洩の危険は認められない」とした。
本人確認情報と行政が持つ他のデータベースとを突き合わせる「データマッチング」や、住民票コードを使って個人情報を集める「名寄せ」の危険性があるとした原告側の主張に対しては、「行政側が法律を守る限り実現しない」と退けた。
同訴訟は02年12月、住民側が県と同センターに個人情報の削除など、国に損害賠償をそれぞれ求めて提訴。05年5月の金沢地裁判決は「離脱を求める原告の強制参加はプライバシー権を保障した憲法13条に違反する」と判断。全国で初めて住民勝訴を言い渡した。損害賠償の請求は退けたため、国は控訴せず、県と同センターが控訴した。
◇キーワード
「住民基本台帳ネットワーク」 住民に11けたの住民票コードを付け、氏名・生年月日・性別・住所とこれらの更新履歴情報を国や全国すべての自治体で取り出せるようネットワークでつないだシステム。住民票の写しが全国各自治体で取れるなどの「住民サービスの向上」と「行政事務の効率化」が主な目的で、02年8月から稼働している。
http://www.asahi.com/national/update/1211/OSK200612110003.html