2006年12月10日(日) 15時22分

日常的楽園　路地裏と猫（朝日新聞）

　尾道と言えば「寺」「坂」「映画」「文学」「絵」「写真」……、そして「猫」。ＮＨＫ総合テレビで２４日朝８時から全国で放送予定の「小さな旅」で、「路地裏と猫」というテーマで尾道が紹介されることになり、地元の案内役として声がかかった。

　尾道ロケは数日間にわたって丁寧に行われた。「小路（しょうじ）」と呼ばれる商店街の細いわき道や、魚の行商のおじさん、山手の坂道など、尾道独特の情景をカメラが追ってゆく。とくに興味深かったのは猫の撮影だった。

　路地裏の猫たちはふだん、日だまりの中で気持ち良さそうに眠り、細い路地をのんびりと歩く。ところが、スタッフ数人がかりでの撮影となると、猫も緊張するのか、逃げ回り、自然な様子がなかなか撮れない。

　猫の気をひくために、スタッフらは地べたにはいつくばり、声をかけたり、ポリ袋をこすって音を出したり、涙ぐましい努力を重ねた。

　そんなユニークな撮影に加わる中で、猫たちの目にこの町やわたしたちはどんな風に映っているのだろうかと、思うようになった。今度は猫の目線で路地裏の写真を撮ってみたい。猫の背後について気ままに歩くいつものわたしは、すでに十分猫みたいなものだけれど。（写真家・中元紀子）

　《「小さな旅」》２０年以上前から続くＮＨＫの紀行番組。通常の取材エリアは関東甲信越地方が中心だが、夏と冬は全国に拡大される。ＢＳハイビジョンで金曜午後７時半から再放送。ジャズピアニスト大野雄二さん作曲の叙情あふれるテーマ音楽も人気がある。広島県内がとり上げられるのは、０５年１月放映の「旧可部線沿線」以来約２年ぶり。

　《今週のＮＯＲｉ》１５日から始まる「ふくやまライトフェスタ」の準備と並行して、東京にある美術関係のプロダクションへ持参する作品ファイルづくりにいそしんでおられるご様子。東京での個展開催へ向けた「営業活動」の一環とのことですが、頭を悩ませているのは「上京の際の手みやげ」。「でべら（ヒラメの干物）と尾道ラーメン、どっちがインパクトがあるか」と……。相変わらずいい味出してます。

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http://mytown.asahi.com/hiroshima/news.php?k_id=35000000612100005