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母子3人が死傷する事故が起きたのは、2002年1月。大和市の主婦、岡本紫穂さん(当時29歳)は、県道脇の歩道を子供2人と歩いている途中でタイヤの直撃を受けて死亡した。
三菱自では1992年から、タイヤ脱落につながるハブと呼ばれる部品の破損が多発し、強度不足が疑われていた。国交省が事故後に求めた報告に、三菱自は、事故から3週間後に「欠陥ではない」と回答していた。
しかし、県警は2004年5月、三菱ふそうトラック・バス元会長宇佐美隆被告(66)らが部品の欠陥を認識していたのにうその報告をしていたとして道路運送車両法違反の容疑で逮捕した。この段階で、宇佐美元会長らは容疑を認めていた。
虚偽報告事件も、母子死傷事件も裁判では、被告らが、欠陥を認識していたかどうかが争点の一つとなっている。
三菱自側は、いずれも裁判が始まると一転して否認に転じた。
紫穂さんの母親、増田陽子さん(57)は「非を認めない三菱が憎くてたまらない。せめて罪を認めて謝ってほしいのに」と公判を重ねるたびに怒りを募らせる。
紫穂さんが亡くなって間もなく5年。増田さんは「事件が風化してしまうのが怖い。紫穂の事故は、三菱を巡る一連の事件の原点。車の欠陥で外れたタイヤが、何の罪もない歩行者を殺したという異常さを忘れてほしくない」と語る。
虚偽報告事件はまさに、紫穂さんの死亡事故から始まっている。
「事故の原因をつくった三菱と、その幹部がどんな裁きを受けるのか。自分の目で見届けたい」。増田さんは、虚偽報告事件の裁判を初めて傍聴しようと考えている。