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「キャンセルしたら呪われる」。ザイン直営の「シオン大阪店」店長との電話を切ると、とてつもない買い物をした後悔より、支払えないで「運命が崩壊し発狂する」という恐怖に支配された。
「ソープって何?」と店長に聞くほど夜の世界に疎い女性は、仕事探しの見当もつかず、風俗情報誌を見て電話をした。
面接日は30回目の誕生日だった。店員に「お客用の番号から面接を申し込む女はいない。男にだまされているだろう」と見透かされた。3日後、神戸一の風俗街、福原のヘルス嬢となった。
「日の出から出勤。朝4時になると迎えの車が来て、夕方4時まで12時間働いた。それを週6日。客の回転がすごすぎて8回転の日もあった」
当時4歳の1人息子は保育園までの時間、母親に預けた。ザインへの傾倒ぶりを知る母親は、娘にただ「落ちるところまで落ちたわね」と言った。保育園が休みの日曜は福原の歓楽街の託児所に息子を預けて働き、1カ月で75万円を稼いだ。いくら心を無にしても「客の前で泣き出してしまい、店員がかけつけて客に平謝りすることもあった」。
極度の不眠症になったが、「子供と一緒なら眠れるときもあった」。だが毎晩、深夜になると電話が鳴った。
「日払いの金を当て込んで、シオンの店長が営業電話をかけてきた。客から“本番”を強要されると相談すると、『変な男を寄せ付けない効果がある』と35万円のアクセサリーを勧められた」
蝕まれる心身を守るため、新しい霊感商品に頼る悪循環。不憫な息子に買ったものもあった。
いくら稼いでも返済が進むどころか、支払額は膨れ上がっていった。やがて買った覚えのない商品まで払込用紙とともに届くようになった。ヘルス嬢よりもうかるホテトル嬢に転じ、月80万円を稼いだが「精神的に参って、ただ死にたかった。いつの間にか、普通の人生が憧れのものになっていた」。福原に出てから3カ月後、「頭の中でプツンと切れた」。
肺炎をこじらせて寝込んだが、稼がねばならない。小康を得て新たな店に面接に行くと、不意に「君、ザインやろ」。この店長は以前にもザイン関係者と接したことがあるという。「向いてへんで、この仕事」と言う店長に「どうせ死ぬんだから」と仕事をくれるよう頼むと、店長は女性の首にかかる開運ネックレスをつかんで忠告した。
「こんなの大切にするより、自分のほうが大事やで」
女性はこの言葉に「目が覚めた気がした」。
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ZAKZAK 2006/12/06