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総務省や通信業界関係者によると、以前は電電公社のみが担っていた通信事業は、11月1日現在1万4092社と、この20年で劇的に増えた。大半は、近未来通信のように独自の通信回線を持たずにNTTやKDDIなど大手事業者の回線を借りてサービスを提供する業者だ。
近未来通信は、石井優社長が製薬会社勤務や健康器具販売会社経営をへて97年に毛皮コートや宝石などの販売を目的に設立した会社が前身。翌年社名を変更し、通信事業に乗り出した。
民間信用調査機関によると、売上高は00年7月期12億円、01年同期20億円、02年同期42億円、03年同期81億円と倍々ゲームで増え続け、05年同期には180億円に達した。
しかし売り上げのほとんどは本来の通信料からではなく、投資家からの資金が占めたとみられている。
通信事業者増加の背景には、電電公社(現NTT)が民営化された85年以降、相次いで進んだ通信事業の規制緩和がある。特に04年の改正電気通信事業法の施行で、経営状況の審査などによる「許可制」が廃止され、独自の回線を持たない業者への規制は事業者名、所在地、サービス内容などの総務大臣への「届け出制」のみとなり、新規参入が加速した。「参入しやすくする代わりに、利用者からのクレームがあった場合などにチェックをする形に移行した」(同省データ通信課)。
こうした中で、高利回りをうたい匿名組合を通じて約490億円の投資金を集めた固定電話会社「平成電電」は昨年経営破綻(はたん)し、続けて近未来通信の投資詐欺事件が起きた。
中央大学の直江重彦教授(情報通信産業政策)は「大手の回線を借りたサービスは、よほどうまいビジネスモデルを作らないと大きなもうけは望めない。規制が緩い分、近年参入した業者の中には実態の不透明な業者も多い」という。
同課は近未来通信について「通信事業自体にトラブルはなく、利用者保護の観点からは対処の必要がなかった」とする。
こうした姿勢に、通信事業に詳しい専門家は「詐欺的業者が潜在化している可能性は十分にある。国は規制緩和を進めてきた責任の一端として、それらへの対応策も考えるべきだ」と警鐘を鳴らしている。
http://www.asahi.com/national/update/1205/TKY200612050249.html