2006年12月04日(月) 18時46分
近未来通信を詐欺容疑で強制捜査(ITmediaニュース)
インターネット技術を使ったIP電話サービスの事業者「近未来通信」(東京都中央区)が、投資家から事業資金を集めながら閉鎖状態になっている問題で、警視庁捜査2課は4日、同社に事業実体がなかったとして詐欺容疑で本社や川崎市の石井優社長宅など全国の関係先約20カ所を一斉捜索した。同社は約3000人から投資名目で総額約400億円を集めたとされ、資金集めの過程で投資家をだます意図があった疑いが強いと判断、強制捜査に踏み切った。通信事業の信頼性を揺るがした問題は、巨額詐欺事件に発展した。
調べでは、同社はIP電話を使った「中継局オーナー」と呼ばれる出資話で投資家を募集。中継局の設置費用を負担すれば、IP電話利用者の通話料から配当金が入ると虚偽の説明をして、今年に入って中部地方の男性から約2000万円をだまし取った疑いが持たれている。
同社は「労働しなくても副収入が得られる」「月500〜600万円の収入がある人もいる」と宣伝し、全国の投資家約3000人から約400億円を集めたという。9月中旬以降に配当が滞り、11月20日に本社やほとんどの支店が閉鎖状態になった。また、利用料の支払いがなかったとして、KDDIに通信回線の契約を打ち切られており、事実上、事業が継続できなくなっている。
監督官庁の総務省の立ち入り調査の結果、平成17年7月期の売上高約181億円のうちIP電話などの通信料はわずか約3億円だったことが判明。売上高の約98%が投資家から集めた資金で、その投資金を次々と配当へ回す自転車操業だった疑いが強まった。また、これまで同社は国内外112カ所の中継局に2466台のサーバーを設置していると説明していたが、実際には国内7カ所で7台しか稼働していないことも判明した。
警視庁は、こうした虚偽の運用実態は、誇大広告の詐欺商法の疑いが強いと判断。関係先の捜索に乗り出し、資料押収や関係者の聴取を本格化させ、悪徳商法の全容解明を目指す。
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(ITmediaニュース) - 12月4日18時46分更新
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