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@苦境@
10年ほど前まで、県内でインターネットに接続するには、秋田市内のアクセスポイントに電話をつなぐしかなく、高額な通話料に悩む利用者が多かった。こうした時期に、ネット利用の低価格化を目指して各地に誕生したのが地域プロバイダーだ。
県情報企画課によると、2002年時点で32・6%だった県内のインターネット人口普及率は、06年には63・1%と4年間でほぼ倍増した。設立から10年ほど経過したプロバイダーは少なくとも6業者あり、同課は「県内のネット黎明(れいめい)期を支えてきた」とみている。
しかし01年ごろから、低価格の接続料を売りにする大手が県内に進出し、地域プロバイダーの契約者数は減少傾向に。県南のある業者は「ブロードバンドや光通信など技術革新のたび数百万円かけて設備を新しくする必要があり、価格で勝てない」と嘆き、「将来的には廃業もありえる」と漏らす。
@副業@
収益確保が急務だ。
能代市と山本郡を営業エリアとして、10年前に設立された「NPO白神ねっと」(能代市)の場合、契約件数が01年に1780件で頭打ちとなり、現在は1475件。接続業務以外で収益を上げようと、02年からホームページ(HP)製作にも乗り出した。これまでに地元企業や能代市の観光案内HPなど50件以上を手がけ、最近では、能代商工会議所のHP改装も受注。地元で定着しつつある。
01年には、同市中心市街地にある畠町商店街の空き店舗を改装し、インターネットカフェ「ITプラザ」をオープンさせた。1時間50円で利用でき、子どもから高齢者まで利用者が絶えない人気だ。
湯沢市の「ゆーとぴあネット」は、30分以内に駆けつけ、パソコンのトラブルの原因を調べるサービスを展開。鈴木幸夫事務局長は「大手との差別化はきめ細かいサービス。大手は電話でオペレーターとやり取りするだけ。『専門家がすぐ来る』という安心は価格に代え難いはず」と話す。出張料は1回3000円。パソコン操作に慣れていない高齢利用者らに利用されている。
地元の祭りを動画配信し、契約者数の増加を狙うのは「インターネット鹿角」(鹿角市)。この夏、県無形民俗文化財「花輪ばやし」の動画を配信したところ、1500以上のアクセスがあり、メールでの反響も大きかった。年間2、3000件程度にとどまっていた同プロバイダーのHPへのアクセス数も、06年はすでに3万7000件を超えた。契約者数も増加傾向にあるという。
@懸念@
「接続業務に見切りをつけ、HP製作などに衣替えする地域プロバイダーが多い中、秋田は何とか踏ん張っているほうだ」。地域プロバイダーに詳しい大阪商業大専任講師の横見宗樹氏(公営企業論)の見方だ。
それでも横見氏は「接続業務以外の収益は、屋台骨を支えるほどではない」と指摘。県内の地域プロバイダーが廃業などに追い込まれた場合、契約している高齢者らが大手に移ることもできずに、ネット環境から取り残されるといった影響が出ると懸念している。
業者には日進月歩の技術革新に合わせた設備更新が求められるが、多額の費用がかかる。横見氏は「ネット環境を守るためにも、行政もバックアップの体制を作るべき」として、設備更新に伴う補助制度の創設などを訴えている。