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チッソは準備書面で、(1)原告の多くは95年の政治決着前から感覚障害を自覚しており、症状を知ってから消滅時効期間の3年が経過している(2)原告の症状が85年10月3日以前に発生していた場合、(提訴までに)既に損害賠償の請求権を失う除斥期間(20年)が経過、請求権は消滅していると主張。「和解の余地はない」として請求の棄却を求めている。
今回の訴訟は、未認定患者でつくる水俣病不知火患者会(熊本県水俣市)の会員らが提訴。原告は計1159人で、1人当たり850万円の損害賠償を求めている。
これまで水俣病の時効を巡っては、チッソが水俣病第1次訴訟で「原告らが認定を受けてから3年以上経過している」と主張したが、熊本地裁は73年の判決で「損害が継続的に発生している場合、最初に損害や加害者を知った時から消滅時効が進行するという解釈は到底とり得ない」として退け、確定した。
一方、国と熊本県は関西訴訟などで時効論を主張し、一部が認められた。今回の訴訟で国と熊本県は、関西訴訟最高裁判決で指摘された国家賠償責任を認めつつ、除斥期間や水俣病の診断基準については争う姿勢を示している。
チッソの姿勢について、原告団の大石利生団長は「加害企業の責任は期限を切れるものではないはずだ」とした上で、「被害者には以前から症状があったが、それが水俣病だとは、チッソも国も県も言ってこなかった」と反発している。
原告弁護団長の園田昭人弁護士は「時効の主張は水俣病問題を収束させたいという考えが背景にあるのでは。水俣病の公式確認50年を迎え、これまでの教訓と反省を生かそうとする流れに冷や水を浴びせる態度だ。関西訴訟の最高裁判決以降、国や熊本県の責任問題が前面に取り上げられるようになった陰で、開き直っていると言うほかない」と批判している。
http://www.asahi.com/national/update/1125/SEB200611250030.html