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元社長らが16日に東京地検特捜部に関税法違反(脱税)で逮捕された大手食肉卸「協畜」(愛媛県四国中央市)は、(1)山口県下関市の食肉輸入会社経由(2)韓国や台湾の業者経由と二つの輸入ルートを使い分け、計100億円以上の脱税をしたとみられている。
今年1月に横浜地検が約8億7000万円を脱税したとして摘発した食肉輸入会社の場合も、協畜と同様、デンマークから台湾を経由させる手口。偽造の仕入れ書を使い、税関の目をごまかす手法も同じだった。
農水省によると、05年度に輸入された豚肉は総量約87万9000トン。主にハムなどの原料や大量販売の弁当の材料に使われるという。
都内のある業界関係者は、「その多くが『裏ポーク』だ」と話す。業界では、差額関税を免れて不正に輸入した豚肉を「裏ポーク」と呼ぶ。
不正輸入にかかわった経験があるこの関係者によると、大手食品メーカーなど買い手と価格交渉する場では、「メーカー側も裏ポークの存在を認識し、暗黙の了解があった」という。
大手の一つ、「伊藤ハム」(兵庫県西宮市)も05年6月、不正輸入を承知して豚肉を購入したとして、関税法違反の罪で起訴されている。
摘発が続く中、今年6月以降は、国内のハムやソーセージの価格が1割ほど引き上げられるという事態が起きている。別の業者は「税関による摘発が厳しくなり、裏ポークを扱っていた業者が取り扱いを控えたのが一因だ」と指摘する。
食品業界には、差額関税制度を見直すべきだという意見が多い。同制度が保護対象とした国内の養豚業者は、制度開始の71年の約40万戸から05年の約9000戸に減少しており、差額関税は「時代遅れの制度だ」と言う。
これに対し、農水省は「制度を悪用する方をとがめるべきで、制度そのものを批判するのは本末転倒だ」という立場を変えていない。
http://www.asahi.com/national/update/1125/TKY200611250381.html