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【申請続々】
タクシー業者による運賃値上げ申請は、今年7月ごろから活発化。これを受けて、国土交通省は9月上旬、値上げを認める方針を固めた。
タクシー料金の値上げの仕組みはこうだ。まず事業者が各地の運輸局に値上げを申請する。各地域で最初に値上げ申請があった日から3カ月間を受付期間とし、その間に申請の対象になる法人タクシー台数が営業地区内の総車両数の70%を超えれば、運輸局は半年以内に値上げを認めるかどうかを決める。
国交省が値上げを認可すると、認可された運賃を上限に、10%安い下限運賃との間で自由に料金設定ができる。
ただし、値上げを申請しなかった事業者は下限運賃より安くてもかまわない。
現在、値上げ申請しているのは全国の営業地区(84地区)のうち16地区で、車両数では約6万7000台と全国の3分の1を占める。申請率が70%を超えているのは大分県、長野県、長崎県、秋田市周辺で来年2月以降の、値上げは確実。東京23区(三鷹市と武蔵野市も含む)もすでに69%に達していて、申請受付期間の今月31日までに70%を突破する可能性が非常に高い。他には金沢市周辺、沖縄県本島、和歌山市周辺、神奈川県内各地区などが値上げ申請。
申請された値上げ率は地区によってまちまちだが、値上げ率が最も高いのは和歌山市周辺の24−49%で、値上げ後の初乗り運賃630−660円(現在、中型車の一般的な額は570円)。気になる東京23区は同11−29%で750−810円(同660円)に。横浜・川崎市周辺は同9−30%で720−860円(同660円)となっている。
【値上げの理由】
値上げの理由は燃料費高騰と乗務員不足。原油の価格は一時より落ち着いたとはいえ、それでも高止まり。乗務員の人手不足は低い賃金水準が原因となっている。
「業界全体では、全産業平均の10%増しの労働時間で40%少ない賃金しか得られないというのが実態。こうした低賃金では若い人も集まらず、中高年では夜勤も非常にきつい」とタクシー業界関係者は明かす。
その深刻さを物語るように、都内のタクシーは80%の車両しか動かせないのが実情だ。
初乗り上限額が引き上げられるのを待たずに、枠内での値上げの動きもすでにある。“価格破壊タクシー”として名をはせた「東京エムケイ」は5月に初乗り600円を660円に。「ワンコインタクシー」として初乗り500円をウリにしていた「アシストタクシー」は、今年10月に初乗りを640円に値上げした。
タクシー値上げは、家計にも重くのしかかる。総務省の家計調査によれば、昨年1年間に1世帯が支出したタクシー代は7660円。20%値上げされるとすれば、年間約1530円の負担増になる。
週末に一杯引っかけてタクシーで深夜帰宅−ということも、減っていきそうだ。
ZAKZAK 2006/11/22