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2006年11月21日(火) 15時02分

「ぬれ煎餅買って」 経営難の銚子電鉄がSOS朝日新聞

 電車運行維持のためにぬれ煎餅(せんべい)を買って下さい!! 修理代を稼がなくちゃ、いけないんです——。約2億円の負債を抱えて経営難に苦しむ銚子電鉄(千葉県銚子市)が、自社のホームページ(HP)で「緊急報告」と題し、同社の名物「ぬれ煎餅」やレールで作った文鎮など電鉄関連商品の購入を呼びかけている。車両の法定検査が資金不足で発注できず、このままでは元旦の輸送に支障が出たり、年明けに車両不足でダイヤ通り運行できなくなったりする恐れがあるという。

銚子電鉄が購入を呼びかけている「ぬれ煎餅」

「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです」と、協力をよびかけるメッセージ=銚子電鉄ホームページから

 銚子電鉄は、JR銚子駅と犬吠埼や外川漁港を結ぶ全長6.4キロのミニ鉄道。同社によると「緊急報告」は16日、HPのトップページに小川文雄社長、労組委員長、従業員一同の連名で載せた。

 毎年下期に実施している車両の法定点検が、資金不足で発注できず、運行に使える5両のうち、すでに1両は期限が切れた。今後、年明けまでに1両、年度末までに2両の期限も切れる。

 点検や摩耗した車輪の交換には、1両あたり400万円以上かかるが、「日常点検もあり、4両はないと通常通りの運行ができない」。最低でも年度末までに3両分の検査が必要で、約1200万円を集めたいという。

 売り上げにして5000万円以上、同社のぬれ煎餅1枚(85円)に単純換算すれば、約59万枚を売らねばならない。「お客様に迷惑をかけたくない思いで載せた」と担当者。他にもキーホルダーなど鉄道グッズの購入と、電車の利用を呼びかけている。

 20日までに、全国から寄せられた注文のメールは1千件を超えた。「レール文鎮」は、人気のあまり在庫切れに。「一日も長く走ってくれ」などと、全国の鉄道ファンたちから激励の声も寄せられているという。

 「ぬれ煎餅」は95年、同社の増収策のひとつとして製造販売を開始。同電鉄の駅やJR千葉駅、錦糸町駅のキヨスクなどのほか、インターネットでも販売している。しっとりとした柔らかさが人気で、昨年度は本体の鉄道事業の約1億1500万円の1.6倍となる約1億8000万円を売り上げた。

 同社をめぐっては、今年8月、前社長が借入金を着服した業務上横領容疑で逮捕された。起訴状などによると、総額は1億円以上とされる。同社は、この影響もあって銀行からの融資は停止されていると説明する。

http://www.asahi.com/national/update/1121/TKY200611210303.html