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「円満解決です」。21日午前、東京・霞が関の東京高裁16階の和解室から出てきた両行代理人の弁護士らは口をそろえた。
三菱UFJの畔柳信雄社長も同日の全国銀行協会長としての記者会見で、「円満かつ全面的に解決したのは最善の結果」と話した。住友信託幹部も「ようやく和解にこぎつけることができた」と胸をなで下ろす。
旧UFJに、リスクを冒してまで住友信託との統合をけって旧三菱との統合を選ぶことに走らせたのは、巨額の不良債権問題だった。だが、三菱UFJ、住友信託ともに不良債権処理や公的資金の返済に区切りをつけ、今となってはそれも過去の話。双方とも「法廷闘争が長引けば、企業イメージが悪化するだけ」と和解の道を探り始めた。
しかし、突っ張りあってきた中でどちらも自分からは降りられない。株主代表訴訟で訴えられる危機感も増すなか、和解案を東京高裁が先月下旬に示したのは「渡りに船」だった。
和解金額の25億円は、住友信託の一審での請求額の40分の1、二審と比べても4分の1だ。畔柳社長は「早期に円満かつ全面的に解決する金額としては妥当」と会見で述べた。金額以外の具体的な和解内容は明らかにされていないが、M&Aの専門家の間には、今回の金額が「同様のケースでの目安になる」との見方も出ている。
M&Aに詳しい池田裕彦弁護士は「統合準備にかかった実損額を超す賠償が認められたことには意義がある。金額も双方にとって公平感がある」と指摘する。
一方で、和解金の算定根拠は具体的に示されず、中川秀宣弁護士は「日本では独占交渉権が侵害された場合の損害がいくらであるのか明確でなかった。今回の訴訟で示された金額の根拠を解明していくことが必要だ」と話す。