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2006年11月19日(日) 00時00分

40代 まるで“都合のいい女”読売新聞

 40代女性。夫は3年前、病気が治らずに自殺しました。今は小学生の子どもと暮らしています。

 心寂しい日々を送ってきましたが、夏ごろ、夫をよく知っている50代の元同僚と出会いました。彼も離婚歴があり、娘さんと暮らしています。私は彼に夢中になり、頻繁に電話したり、手紙を書いたりしました。

 でも彼から連絡があったのは体を求めるときだけでした。そして「おれは誰とも深い付き合いはしない。いざとなったら逃げる」と言われました。私の愚痴や悩みは嫌がらずに聞いてくれましたが、結局私から別れの手紙を書きました。でも、どうしても彼を忘れることができず、悶々(もんもん)としています。最近また、手紙を出してしまいました。

 彼はいつも、複数の女性と関係を結んでいると言っていました。私もその程度の付き合いだったのでしょうか。胸が苦しくて仕方ありません。これを乗り切るにはどうしたらいいのでしょうか。(群馬・S子)

 付き合えば傷つくと分かっていても、わらをもつかむ心境になって苦しむ時があります。心の痛手を深く負って、的確な判断力が働かない場合などには、それも致し方ないこともあるでしょう。

 あなたが心を寄せている男性は時に悩みに耳を傾けてくれる優しさを示してくれるようですが、あなたが心から信頼できる男性ではないですね。そのことはあなた自身が一番よく分かっていると思います。それでもなぜ、あなたは彼に執着するのでしょうか?

 お手紙の冒頭に「夫が自殺した」とさりげなく書いておられますが、病に苦しむ夫を間近に見るつらさに加え、自殺という形で別れを余儀なくされた心の傷は、あなた自身が思っている以上に深いからだと思います。その傷からあなたが立ち直るには、いろいろ迷い、悩む時間が必要です。そのために彼との関係に悶々とする時間があってもよいとは思いますが、実りのない関係に心を寄せざるを得ないほど自分の心はまだ癒えてないのだ、と自覚することも大切かと思います。

 (大日向 雅美・大学教授)

http://www.yomiuri.co.jp/jinsei/danjo/20061119sy31.htm