悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年11月17日(金) 00時00分

シブ経、ハマ経、アキバ経… ネット「経済新聞」拡大中朝日新聞

 東京・渋谷、名古屋・栄、福岡・天神……。全国各地の繁華街の動きをニュースにまとめ、「○○経済新聞」と銘打ってネット配信する試みが拡大中だ。いずれも小さな編集部ながら、地域の細かな話題も拾い上げるのが身上だ。サイト上で集結することで、各地の流行をリードする「旬の街」の動きが一覧できる仕掛けとなった。

 「工事中」の囲いがある土地を見つけると、施工主が記された看板を撮影する。ネット上で「シブヤ経済新聞(シブ経)」を運営する西樹(たてき)編集長(46)は街を歩く時、デジカメが手放せない。

 本業はPR会社の経営だ。青山学院大学生だったころから徒歩で10分足らずの渋谷には愛着がある。「若者向けメディアは多くても、大人の目線で伝えるメディアがない」と00年に創刊した。自身は「紙の新聞が大好き」だったため、サイト名に新聞と付けた。

 西さんを含め3人で、原宿、青山、恵比寿、代官山などの「渋谷から電車でひと駅圏内」を取材する。1日最低4本のニュースをサイトに掲載し、月間100万人以上が訪れる。

 重視するのは、店や企業の動向だ。9月中旬に掲載した「青山で屋台風の飲食店が閉店。希望者には屋台を譲渡する」という記事は、読者の通報がきっかけだった。「閉店情報はあまり発表されず、手がけるメディアもない。6年間やってきて、独自の情報網ができてきた」という。

 この試みをほかの地域にも広げようと考えたのは04年。横浜市で街づくりを手がけるNPO「横浜コミュニティデザイン・ラボ」が同調し、「ヨコハマ経済新聞(ハマ経)」が創刊された。

 みなとみらい線を中心とした湾岸地域の情報を発信する。専従の「記者」は1人で毎日3〜4本のニュースを発信する。1人で情報収集できる秘密はパソコンにある。横浜に関連する約1000のサイトやブログの更新情報を常時監視するプログラムが組み込まれている。

 サイトには「横浜駅の近くにメード喫茶ができた」「格付け会社が横浜市の財政を格付け」という記事が同じ画面に並ぶ。編集長の杉浦裕樹さん(43)は「市内で面白いことをしようとしている人とはほとんど知り合いになれた」と話す。

 05年以降、首都圏のほか名古屋や福岡にも輪が広がった。年内には、札幌、仙台、烏丸(京都)、那覇などが加わって計17カ所となる予定だ。商業を中心に街の動きを伝えるという考えを共有し、いずれも「経済新聞」を名乗る。

 運営するのは各地のIT企業やテレビ番組制作会社、出版社など。いずれも本業があり、地域への社名の浸透といった波及効果も期待できる。数人の小さな編集部で経費を抑えているため、「広告に過度に依存せず、好きなことを書ける」(シブヤ経済新聞の西編集長)のも利点だ。今後、他サイトへの配信料金や、各紙をサイト上で集約することで広告収入の増加を見込む。

 97年から7年間、紙の「京都経済新聞」を発行した築地達郎・龍谷大助教授は「紙だと印刷や宅配にはどうしても財務体力が必要で、扱う範囲が広域になる。ネットの利用で、地域住民に関心の高い身の回りの話題に集中することができている」と感心する。

http://www.asahi.com/digital/internet/TKY200611170277.html