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2006年11月16日(木) 10時27分

「取り調べは脅迫」自白調書を却下 京都地裁 別被告は証拠に京都新聞

 若い男3人が男性を暴行して現金を奪ったとされる事件で、強盗傷害罪に問われた男の公判が15日、京都地裁であり、東尾龍一裁判長は「机をたたいたり、顔を殴るふりをした取り調べは脅迫に該当し、供述の任意性に疑いがある」として、京都府警の違法捜査を認め、警察と検察の調書計4通を証拠として採用しない決定をした。仲間2人の公判はすでに終了、うち1人の公判ではこの男の供述調書が採用されており、同じ地裁で裁判官によって判断が分かれる異例の展開になった。
 起訴状によると、3人は昨年9月、京都市上京区で男性を暴行し、現金約30万円を奪ったとされる。中立売署は傷害や窃盗の疑いで3人を逮捕し、地検は強盗の意思を共有していたとして強盗傷害罪で起訴した。
 男を取り調べた中立売署の捜査員は公判で、殴るふりをしたことなどを認めた上で「行き過ぎはあったが、犯行の再現のため」と主張した。
 しかし、東尾裁判長は「被告は当初から暴行を認めており、取り調べの後半に犯行を再現する必要はない。被告に馬乗りになって殴るふりをしたと認められる」と指摘した。その後に男が強盗の意思を認め、自白調書が作られた点に触れ「違法なやり方で自白を獲得しており、黙秘権を著しく侵害した」と断罪した。
 さらに、別の捜査員が「執行猶予の可能性が高く、弁護人は必要ない」という趣旨の発言をしていたことも認め、「弁護人選任権の侵害で、自白に向けた違法な利益誘導だ」と認定した。検察調書についても、警察の取り調べの影響があったと判断して退けた。
 仲間2人も公判で、自白の任意性や弁護人選任権の侵害について争ったが、それぞれの裁判長は調書を採用した。うち1人の審理では、今回却下された男の供述調書も採用された。2人のうち1人は有罪判決が確定し、もう1人は実刑判決を受けて控訴している。
 男の弁護人は「却下は当然の決定。日弁連などが求めている取り調べの録音、録画の必要性をあらためて印象付けた」と話している。小田武治中立売署長は「地裁の決定内容を十分に検討して対応したい」としている。
(京都新聞) - 11月16日10時27分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061116-00000026-kyt-l26