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2006年11月14日(火) 03時08分

<自殺予告>止まらぬ連鎖…有効策なし焦り濃く毎日新聞

 伊吹文明文部科学相あての「いじめ自殺予告文書」を受けて全国的な警戒が続く中、子どもの自殺が止まらない。文書を公表したものの、相次ぐ予告に戸惑う文科省。教育委員会、各学校も即効性のある対策は打ち出せないままだ。連鎖は食い止められるのか。子どもたちに「命」の大切さをどう伝えるか。過去にも度々社会問題化したいじめ問題の教訓はいつ生かされるのか。【佐藤敬一、吉永磨美】
 「連鎖的なものが来ることは覚悟していた」。13日行われた、日本記者クラブ主催の記者会見。招かれた伊吹文科相は苦渋の表情で、自殺予告の手紙が続いていることに言及した。
 文科省が「11日に自殺する」との手紙を公表したのは7日未明。各都道府県教委にいじめの正確な把握と報告を求めている手前「情報隠し」はできない事情もあった。伊吹文科相は「(公表してもしなくても)どちらになっても必ず非難を受ける。非難は私が受けるんだと、毅然(きぜん)とした姿勢を示さないと教委、校長がついてこない」と選択の理由を強調した。
 しかし、公表の影響は予告手紙が相次いだことで明確になった。自殺の原因や予告手紙との関連性が不明ではあるものの、12日に大阪と埼玉で中学生が命を絶った。大阪の飛び降り自殺の一報が入ったのは「いじめ自殺予告」の警戒中。銭谷真美・初等中等教育局長ら幹部も駆けつけ、省内は緊迫感に包まれた。
 1通目の手紙を見た総務課職員が「(手紙の内容が)本当だったら危ないなと思った。かなり緊迫していた」と話していたが、その状態は今も続く。
 教育基本法改正の国会審議に加え、タウンミーティングでのやらせ、高校の履修単位不足、いじめの「三重苦」で文科省職員の疲労も色濃い。問題が次々と発生し、いじめ問題に対する抜本的な解決策を検討するいとまもなく、解決策の検討は「お手上げ」(ある幹部)という。
 13日、新たに届いた2通の手紙について会見をした児童生徒課の木岡保雅課長は「公表によって救われた子どもも多くいるのでは、と考えている。ですから、一つ一つのケースについてできる限りのことをしてまいりたい」と公表の効果を強調した。しかし、具体的な解決策を示さなければ、マイナスの連鎖が続く可能性も捨てきれない。【高山純二】
 ◇「連鎖」断ち切るには…
 今夏以降、各地でいじめが原因とみられる自殺が問題化している。その「連鎖」を断ち切るにはどのような方法があるのか。
 8月17日、愛媛県今治市の中1男子が首つり自殺。遺書には3年間にわたり「貧乏」「泥棒」呼ばわりされ「最近生きていくことが嫌になってきました」と記されていた。
 北海道滝川市の小6女児が昨年、教室で自殺を図り、今年1月死亡した事件では、10月になって女児の遺書を市教委が事実上放置していたことが発覚。さらに10月11日には福岡県筑前町の中2男子、23日には岐阜県瑞浪市の中2女子がそれぞれ自殺した。文科省にいじめ自殺の予告手紙が次々に届き、全国各校で問題の再点検など行われる中、12日に大阪府富田林市と埼玉県本庄市で中学生が自ら命を絶った。
 多くが同様の手段を選んでおり、先行する事件の影響を指摘する声もある。社会評論家の赤塚行雄さんは「戦前に伊豆大島・三原山で自殺が相次ぎ社会現象になるなど、ある時期に次々と自殺が続くことは昔からある。何か心が傾いていると、解決法として『この手で行こう』と引っ張られる」と分析する。
 86年にはアイドルの岡田有希子さんが自殺し、後追い自殺が社会問題化した。警察庁のまとめによると、86年の19歳以下(未成年)の自殺者数は前年比約1.4倍の802人に達した。岡田さんと同じ方法での自殺が多かった。愛知県西尾市の大河内清輝君のいじめ自殺事件が問題化した94年の未成年者の自殺数も580人と前年より多くなっているが、98年以降600人弱から700人超と、より深刻化した。
 履修漏れ問題も含め、「校長の自殺」も最近の特徴だ。ジャーナリストの江川紹子さんは「先生にとり良い職場でない学校が、子どもにとって良い学びの場であるわけがない」と教育者の自殺の背景に思いをはせる。その上で「根本的に何が問題か考えなければいけない。1人だと行動しない子どもたちも、集団自殺のように1人じゃないという仲間意識が芽生え、連鎖的に行動するのでは」と指摘する。【森禎行、長野宏美】
(毎日新聞) - 11月14日3時8分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061114-00000015-mai-soci