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「大企業はごみ箱にごみを捨てると、翌日ごみ箱が空になっている。だが、楽天のようなベンチャー企業は、自分で空にしないと誰もやってくれない。もともと会社が存在していれば、組織がどのように動いているかよく分からない。だが、ベンチャーのようにゼロから会社をつくると組織の動きも見えてくる」
——仕事のかたわらSNSを運営したのは。
「米国ではやっているのを知った。利用者自身が情報発信をするメディアの時代がくると実感した。しかし、楽天でも当時やっていたブログ(ネット上の日記)はビジネスとして成立しておらず、『SNSがはやる』といっても説得力がなかった。だから、自分一人で始めることにした。学生時代からホームページや掲示板を運営してきた。もうけがなくても、おもしろければよかった」
「初期投資に数十万円かかった。自分でプログラムを書き、二〇〇四年二月から運営を開始した。昼間は楽天の仕事、午後十時ごろ帰宅し午前三時までSNSの運営をした。休日もつぶれた」
——グリーを会社にした理由は。
「二十五歳の時、楽天の最年少役員に『自分が楽天の創業に参加したとき二十五歳だった』と言われた。米国のヤフーやグーグルなどのベンチャー創業者も二十五歳前後で起業している。自分も踏み込まなければと決心した。サービス開始時は自分と友達しかいなかった会員も、十カ月後に十万人まで増えたので会社化した」
——KDDIと資本提携した理由は。
「パソコン経由より、携帯電話でのネット視聴者数が多くなり、携帯向けSNSに可能性を感じたからだ。携帯電話会社と組まないと、技術的なハードルを乗り越えられないこともあり提携を選んだ」
——グリーをどうしていく。
「時代ごとに新しいサービスを提供できる会社にしたい。五年前に起業していたらSNSを運営していなかったかもしれないし、五年後には別のことをやっているかも。成功しているからといって、同様なサービスをまねても仕方ない。『(数年前のSNSのように)はやらないよ』といわれるぐらいのサービスをやる勢いがないとだめだ」 =おわり
(この企画は、桐山純平が担当しました)
<グリー> プロフィルや日記、写真などを会員内に公開し、交流の輪を広げる「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」を運営する。会員数は40万人で登録には既存会員からの招待が必要。2004年2月当時、楽天の社員だった田中良和氏が個人的な趣味でサービスを開始。同年12月、友人ら3人で株式会社「グリー」を設立し、田中氏が社長に就任する。06年7月、KDDIとの業務・資本提携を発表。携帯電話向けのSNSにも力を入れる。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20061111/mng_____kei_____002.shtml