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ネット映画祭を立ち上げた吉野眞弘社長=東京都渋谷区で
トルコの泥棒3人組のコメディー、チェルノブイリ原発事故の記録……。テーマも言語も多様な何百という応募作から予備審査を経た約30本を字幕つきでサイト上に配信すると、そこから世界各地の視聴者と選考委員の審査が始まる。
吉野さんの会社「メディア総合研究所」は、IT支援や出版、映像制作を手がける。社員は約100人。憲法の成立にかかわった白洲次郎の関連本や、音楽家菊地成孔のジャズ講義をまとめた本を出して話題になった。
学生時代から映画や演劇が好きだった。メーカーに勤務したが、「やりたいこととは違う」と13年前に起業。「ムーブメントを起こしたい」と7年前、新宿で若き才能の発掘をめざす映画祭を企画するも資金不足で断念。ここ数年のブロードバンドの普及で高質の動画配信が容易になると、今度は短編映画に目をつけた。「気楽に見られて若手育成にもつながる」
中国や北欧、米国に足を運び、評論家や監督らに選考委員になってもらった。自社では社員約10人が専従スタッフだ。翻訳部から参加している松田佳野さんは「うちの社長ならやりそうなことだと思った」と笑う。
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第1回の開催は昨年春。「作り手の魂がこもっている」という意味を込め、「魂(こん)観(かん)=CON—CAN」とした。最初は25カ国151本だった作品数も、第3回には54カ国616本に急増した。
悩みの種は運営費用。サーバー維持や翻訳などに最低5000万円かかる。2企業のバナー広告収入では賄えきれないが、「コンテンツを充実させ、絶対に事業化してみせる」。文化を支えているという自負もある。
新人監督の登竜門「ぴあフィルムフェスティバル」の元ディレクター、武藤起一さんも当初から運営に携わる。「短編映画から巣立つ監督は多い。世界でも第一級の作品が集まるから国内の若手には良い刺激になる」
6日から、次回映画祭に寄せられた作品の公開が始まった。映画祭は、会社が存続する限り続けるつもりという。