悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年11月09日(木) 00時00分

『多重債務』対策 要は都道府県 東京新聞

 貸金業制度を抜本的に改正する関連法案が国会に提出され、深刻な多重債務問題の解決に向けた動きが本格化している。その中で、日本弁護士連合会などが「大きな役割を果たせる」と期待するのが都道府県だ。熱心に取り組んできた長野県が、いいモデルになりそうだ。 (白井康彦)

 長野県は先月二十四日、長野市内で多重債務問題のシンポジウムを開いた。消費生活行政の担当者らは「多重債務問題に関係する機関のネットワークづくりが重要」と強調した。

 同県は二〇〇四年七月に「県多重債務問題研究会」をスタートさせた。県や県弁護士会、県司法書士会、県貸金業協会、県教育委員会など十八団体が参加。これまでに十三回の会合を開いた。議論の中で、自治体のさまざまな部署が多重債務問題の解決に向けて力を発揮できることが分かってきた。

 消費生活相談を受ける部署は、多重債務者から債務や家計の状況などを聞き取って解決法の概略を伝え、必要があれば弁護士会や司法書士会などの相談窓口を紹介する。相談電話を受けたとたんに弁護士会の電話番号を伝えるといった冷たい対応では相談者が安心できないので、多重債務の解決法への理解を深めておく必要がある。

 生活保護や生活福祉資金貸付制度などの福祉担当部署、税金や公立学校授業料などの滞納者に対して支払い督促をする担当部署もかかわりが大きい。生活保護の受給を申請する人や税金などの滞納者の中には多重債務者が多い。担当職員らが多重債務の相談先を紹介すれば、生活再建の第一歩になる。

 住民向けの広報を担当する部署には、多重債務の解決法や相談先を説明した印刷物を住民に配布する役割がある。

 都道府県には貸金業者を監督する部署があり、違法行為を働く貸金業者を取り締まっているほか、多重債務者を追いつめるヤミ金融業者の動向にも注意を払うことができる。

 これらの部署が力を発揮するのに県弁護士会や県司法書士会、県警、県貸金業協会、県社会福祉協議会、県金融広報委員会、県教育委員会などの外部の団体と連携を取っていくことが必要不可欠であることにも理解が深まった。

 研究会の議論をもとに長野県は多重債務問題の現実の施策も進めている。消費生活相談員への研修は繰り返し行い、住民への啓発活動も強化。県地方事務所の地域福祉チームや税務チームに協力依頼もした。

 長野県は「市町村への旗振り役も務めていきたい」(生活文化チーム)考えで、シンポジウムには県内市町村に参加も呼びかけた。

 各地の弁護士や司法書士らでつくる「行政の多重債務者対策を充実させる全国会議」は、政府が設置予定の多重債務者対策本部に申し入れ書を出そうと準備中だ。

 いわゆるヤミ金融対策法が制定された二〇〇三年当時は、全国のほとんどの都道府県が県、県警、県弁護士会などをメンバーにしたヤミ金融対策連絡会議をつくった。それを踏まえ、全国会議事務局長代行の上溝博司司法書士は「全国の都道府県に連絡会議を設置することを申し入れ書に盛り込みたい」と話している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20061109/ftu_____kur_____002.shtml