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去勢して雌のようにトサカが小さくなったシャポーン鹿児島鶏を手にする上山龍治さん=鹿児島県鹿屋市串良町有里で
「シャポーン」に取り組んでいるのは、南さつま市にある片平農場の片平将也代表(21)と鹿屋市にある龍治農場の上山龍治代表(35)。
片平さんは、国内で初めて去勢技術を確立させた県立加世田常潤高校(南さつま市)の卒業生。高校時代から去勢技術の先駆者として知られる同高の元校長諸木逸郎さん(62)に教えを受けていた。
去勢は、生まれて2〜3カ月のオスのヒナの腹部を開き、米粒大の精巣を摘出する方法で、以後、性格がおとなしくなり、トサカもメスのように小さくなるという。
ニワトリの精巣は肋骨(ろっこつ)の間にあり、大動脈にも近い。去勢技術は欧米では古くから確立しているが、技術が高度なため日本では普及しなかった。諸木さんたちも、この技術を習得し、飼育に成功するのに4〜5年かかったという。
片平さんと上山さんの農場が去勢鶏1400羽の飼育を始めたのは今年から。1200羽を育てる龍治農場は約1500平方メートルのハウスで、減農薬米やチリメンジャコ、有機ネギなどを交ぜて発酵させた飼料を食べさせ、10カ月以上放し飼いにする。地元の料亭などとの相対取引でモモ肉100グラムあたり680円と、ふつうの鶏の10倍近い値段で売れることもあるという。
鹿児島大農学部の前田芳實・農学部長(家畜育種学)は「値段が高くても味がよければ消費者は買ってくれる。鹿児島の新しいブランドに育ってほしい」と話している。
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〈キーワード:去勢鶏〉 ニワトリは大別して肉用鶏(ブロイラー)と採卵鶏の2種類ある。肉用鶏は通常5〜6カ月で成熟するが、成鳥になるとオス同士がけんかをしてメスを襲うため、性別に関係なく7〜8週間で出荷される。一方、採卵鶏のメスは5〜6カ月で卵を産み始めるが、利用価値がないオスはヒナの段階で処分される。毎年、全国で約1億8000万羽、鹿児島県内で約1200万羽が廃棄されているという。採卵鶏のオスを去勢して肉用鶏に変えたのが去勢鶏だ。