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2006年11月08日(水) 00時00分

【追跡】2ちゃんねるの曲がり角となった訴訟ZAKZAK

 西村博之氏(29)が管理するインターネット匿名掲示板「2ちゃんねる(2Ch)」の曲がり角となった訴訟が二つある。

 ≪あのバカ医者、精神病院に通っている(マジ)からめちゃめちゃ情緒不安定なんだよね。なんでもかんでも手術を勧めるが70パーセントは死んでいるらしいよ≫

 事実無根の中傷に対し、東京都内の動物病院が起こした平成14年の名誉棄損訴訟。黙って沈静化を待つだけだった先例に一石を投じ、院長は書き込みの削除、損害賠償などを求めて戦った。

 院長は「過剰な薬の投与や予防接種でもうけたい同業者が、無駄のない治療をするウチを煙たがったのだろう。2Chで削除請求したら、『本人が現れた』と逆に中傷が増えた」と経緯を明かす。

 東京地裁が下した2Ch関係初の判決。司法は「匿名掲示板であるため被害者が書き込み者を特定できず、名誉回復の機会などが与えられないのは不公平」と西村氏の管理不行き届きを認めた。

 以後、2Chは書き込み者のIPアドレス保存を始め、事実上匿名性を放棄したが、今も卑劣な書き込みは続く。院長は「ネット社会は止められない」と実感する。

 西村氏のカリスマ性に影が差したのが、化粧品会社「ディーエイチシー(DHC)」による15年の訴訟。同社が健康食品を回収した際、「枯葉剤が混入したせい」と2Chで吹聴された。管理者として訴えられた西村氏は、自身のメルマガで≪DHCは食品に枯葉剤を入れたりと、なかなかチャレンジャーな会社≫と火に油を注ぐコメントをし、このメルマガについても訴えられた。

 2Chを敵に回したDHCには当時、日に数十回も無言や嫌がらせの電話が殺到、店頭に「枯葉剤混入」とステッカーを貼る“工作員”も現れた。

 法廷で西村氏は「化学的なことはわからないが、インターネット上にたくさん出ている」とネット情報を証拠として提出。だが東京地裁は「混入の事実はない」と判断し、掲示板とメルマガの双方で名誉棄損の成立を認めた。

 IT関係者は「西村氏は『ウソをウソと見抜けない人には2Chを扱うのは難しい』とのたまいながら、自分もネット情報に踊らされた揚げ句、誤りを認めず謝罪も賠償もなかった」と指摘する。

 度重なる敗訴を受け、西村氏も削除の基準や削除申請方法の整備、ボランティアによる自主的削除の促進など対策を講じてきた。しかし「あくまで西村の理想は無規制の掲示板。だが想像以上に2Chが拡大し、物理的に管理もしきれなくなっている」(2Ch関係者)。

 削除申請しても2Ch側が応じない場合、西村氏を相手取って民事訴訟なり仮処分申請をする必要がある。

 だが西村氏は裁判所からの出頭要請も届かず、「削除せよ」という判決や仮処分命令が出ても、それを西村氏に知らせようがない。手続きを事実上拒否する無責任ぶりに対して疑問の声が高まる中、西村氏は今月、自身のブログで回答した。

 ≪北は北海道、南は沖縄で裁判が起こっているので、全部に出席することは不可能です。んで、全部に出席しないというのが平等だと思っています≫(2Ch取材班)

ZAKZAK 2006/11/08

http://www.zakzak.co.jp/top/2006_11/t2006110816.html