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ロイター通信によると、米ホワイトハウスのスノー報道官は5日、「イラク国民にとって、いい日だ」と判決を歓迎した。ブッシュ米大統領の任期、残り2年余りの行く末を決める中間選挙を目前にした時期の判決だけに、フセイン元大統領への死刑判決を前向きに評価したものだ。
ブッシュ米大統領は判決直前の4日、中間選挙応援に訪れた遊説先のコロラド州で「私がサダムを権力の座から追う決定をしたのは正しかった。世界はその恩恵を受けている」と強調していた。
しかし、宗派間対立が激化し内戦寸前という現実の前に、今回のフセイン元大統領の死刑判決の持つ意味もかすみがちだ。10月は、駐留米軍の死者が100人を超えた。死者数が3ケタに達したのは05年1月以来だ。
ブッシュ政権が、旧フセイン政権の残党やスンニ派武装勢力ら「敵」の同義語として頻繁に使った「サダム主義者」という言葉は、今年初めに宗派間対立が激化して以来、登場する頻度が減り、今やほとんど聞かれない。もちろん、イラクのイスラム教シーア派がかつて、「サダム主義者」たちに弾圧されていたことも確かだ。
ところが、シーア派が牛耳る内務省傘下の治安部隊は今年になり、宗派間紛争を収めるどころか、逆に「当事者」になってしまった。一方的にスンニ派だけを米国にとっての「敵」と決めつけてきた論法は、通用しなくなりつつある。
今回の裁判は、国際人道法に照らしてみても、多くの疑念がある。弁護団メンバーらを標的に相次いだ暗殺は、その一端といえる。