悪のニュース記事

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2006年10月31日(火) 02時06分

10月31日付・編集手帳読売新聞

 江戸の屋台では提灯(ちょうちん)などに「千客万来」と書いた。千客どころか、十客が押し寄せても大忙しの有り様をからかった川柳が残っている。「千客万来みな来ると困る也(なり)」◆提灯で客を招いた昔は千人万人も来る心配はなかったが、情報が瞬時に千里を走る世の中、準備をおろそかにした客寄せは混乱のもとになる。携帯電話大手のソフトバンクモバイルは「困る也」である◆土曜と日曜、電話会社を乗り換える契約変更の受け付けを2日連続して停止した。契約者が殺到し、顧客情報システムの処理能力を超えたというが、読みの甘さは否めない◆電話会社を変えても従来の番号がそのまま使える制度が導入される前日に、不意打ちで新料金プランを発表した。敵を欺くには味方から、というわけか、社内でも極秘事項であったという。準備が間に合わなかったのも道理だろう◆欧米に比べて割高といわれる携帯料金を革新する。その志が悪かろうはずもなく、秘術を尽くしての競争も利用者の望むところだが、「混乱を招かずに」という条件はつく◆「千客万来」と対照をなす四字熟語は「門前雀羅(じゃくら)」、門の前にスズメ捕りの網が張れるほど閑散とした様子をいう。経営に求められるのは「千客万来」の知恵ばかりではあるまい。万来の客を窓口に渋滞させない「門前雀羅」の知恵も要る。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20061030ig15.htm