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【虚偽説明】
「お客様各位 NTTドコモとKDDI(au)においてシステム障害が発生しております」
「その影響により、ナンバーポータビリティー(番号継続制)を利用したソフトバンクへの新規ご契約が不可能となっております」
都内・新宿のSBM販売店で29日夕、こんな張り紙が出された。
SBM広報部は「販売店単位の情報は現時点で把握していないが、情報の行き違いで混乱している状態だった。トラブルは当社のシステムが原因であり、間違った説明があったとすれば、申し訳ない」としている。
MNPの転出入のどちらが多く、何件の申し込みがあったかについてSBMは未公表。自社への転入者登録が遮られ、あおりを食ったドコモとauは、SBMのシステムトラブル防止を申し入れたが、この虚偽説明がさらなる波紋を招く可能性もありそうだ。
【不安ぬぐえず】
30日朝、ドコモとauとの協議を経て、サーバーの増強を終え、契約受付を再開したSBMは、「平日ということもあり、お客さまの出足も落ち着いていることから、問題なく進められている」と話す。
今週末の3連休を控え、「引き続きサーバーや人員を増強していきます」(同)というものの、今後については「(トラブルが2度と起きないとの)お約束はできない」とし、「お客さまにシステムトラブルでの不安が起きないよう、引き続き努力していく」と述べるにとどまった。
総務省の桜井俊電気通信事業部長は同日、SBM幹部を呼び、再発防止と原因究明を指示、週末に向けた対策を改めて報告するよう求めた。利用者でけでなく、ドコモとauも3連休でのトラブル再発を懸念している。
一連のトラブルは、26日午後に、早くもその兆候を見せていた。関西地区の一部で、短時間のシステム障害を2度起こしていた。しかし、SBMはこの事実を公表することはなかった。このつまずきが週末に尾を引いたのは想像に難くなく、今後にも不安を残す。
【利用者にツケ】
一連のトラブルの背景には、孫正義社長が新料金プランを「社内のごく一部にしか知らせていなかった」ため、社内はおろか、販売店への周知が不十分だったことがあげられる。
また、システムがパンクした28、29日にも「0円」を強調したテレビCMは流され続けた。SBM広報部は「29日中にシステムを復旧するつもりでいたので、CM中止の判断には至らなかった」と説明するが、「直前発表で話題性を優先させたツケが、利用者や販売店などに回った格好」(アナリスト)と指摘する声もある。
ソフトバンクグループでは過去にも、「ヤフーBB」の格安料金などで利用者を大量に集めた結果、回線開通という肝心の作業が間に合わず、大幅に遅れる失態を演じている。今回の一件は過去の教訓がまったく生かされていないことになり、その“確信犯”的な業務態勢に、通信業者としての資質も問われそう。
携帯電話業界に詳しいジャーナリストの石川温氏は「SBMでは孫社長の一存で物事が決まり、反対できる人がいないといわれている。携帯電話のプロもおらず、このままなら、本分の通信分野でも今後こうした“事故”が頻発する可能性がある」と指摘している。
ZAKZAK 2006/10/30