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表示の拡大は、二年前に改定された日本農林規格(JAS)法の品質表示基準に基づくもの。
生鮮食品はすべて表示が義務づけられてきたが、加工食品は(1)アジとサバの干物(2)塩サバ(3)ウナギのかば焼き(4)塩蔵・乾燥ワカメ(5)カツオの削り節(6)漬物(7)梅干しとらっきょう漬け(8)野菜冷凍食品−の八品目だった。
それが今回、乾燥野菜や調味した食肉、緑茶、もちなど、二十の食品群の「生鮮食品に近い加工食品」にも義務が拡大された=表。ただし、原材料に占める重量の割合が50%以上の「主な原材料」に限っている。
干物の場合、魚の原産地を製造業者の所在地の近海と誤認させるような表示はなくなった。
東京都内のスーパーで買い物をしていた四十代の女性は「BSE(牛海綿状脳症)の問題があった牛肉の原産地には関心がありますが、加工品は難しい」と戸惑う。
ことを複雑にしているのは、加工の程度や割合で表示の義務がなくなってしまうため。牛肉は、表面をあぶった「たたき」に表示義務があるのに、中まで火の通った「ステーキやローストビーフ」には義務がない。ステーキなどは「生鮮食品に近い食品群」に含まれないからだ。
また、豚と牛のひき肉で合いびきが七対三の場合、牛が「50%以上の主な原材料」とならず、原産地の表示義務はなくなる。現実には、牛の原産地への関心は高く、30%の牛肉にも「オーストラリア産」などと表示されているケースも多い。
切り刻んださまざまな野菜をまぜた「カット野菜ミックス」も同様で、五割未満の外国産ものは表示義務がなくなってしまう。このほか、衣をつけたトンカツ用の豚肉には表示義務がありながら、調理済みのトンカツには義務がない。
さらに、もちや緑茶には表示が義務づけられたのに、小麦粉の大半が輸入のうどん、中国産が多いとされるそばの義務化は見送られた。関心が高い大豆が原料のしょうゆやみそも見送られ、豆腐や納豆は「努力目標」にとどめられた。中国とベトナムからの輸入茶葉が増えている緑茶飲料の見送りについては、日本茶業中央会などから義務化を要望する声が強く、「引き続き検討する」(農林水産省)という。
なぜこうも複雑になるのか。食品表示アドバイザーの垣田達哉さんは「できれば表示したくないという一部業者への国の配慮があるのは明らか。表示義務の拡大は一歩前進ではあるが、まだまだ不十分」と指摘。
食品表示に詳しい消費者運動家の安田節子さんも「どんな農薬を使っているのか分からない国もあり、基本的にすべての食品の原料の原産地の表示を義務化すべきだ。良心的に表示している業者もある。そうしたところが生き残れるように、表示しない商品を買わないなど、消費者が監視の目を持ち続けることが大事」と話している。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20061028/ftu_____kur_____000.shtml