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2006年10月27日(金) 00時00分

SBIが三十数億円申告漏れ 議員へ「資金提供」 中日新聞

 投資会社「SBIホールディングス」(北尾吉孝・最高経営責任者、東京都港区)が東京国税局の税務調査を受け、昨年3月期までの数年間に30数億円の申告漏れを指摘されたことが明らかになった。同国税局はその大半を所得隠しと認定、SBIは修正申告に応じている。追徴税額は約12億円に上ったとみられる。この中には、SBIの運営する投資ファンドが、初当選する前の自民党参院議員との間で行った3億数千万円の株取引が含まれていた。この取引について同国税局は、投資行為ではなく、事実上の資金提供と認定したもようだ。

 関係者によると、SBIが運営する投資ファンド「ソフトバンク・インターネットテクノロジー・ファンド」は2000年9月、議員が同年4月に設立、経営していたインターネット関連会社(当時の資本金3000万円)に投資し、利益を上げる目的で第三者割当増資を引き受け、増資された同社の株式を約3億5000万円で購入した。

 さらに同年12月には議員個人が保有する同社株の一部を、3億数千万円で購入した。議員個人からの株式購入は、議員が01年7月の参院選に、自民党公認候補として初出馬することが決まった後のことだった。

 結局、インターネット関連会社の事業はうまくいかず、投資ファンドは04年になって、取得したすべての株式を同社側に1000万円前後で買い戻してもらったという。

 一連の取引のうち同国税局は、投資ファンドが議員個人から株を購入した行為について着目。(1)設立間もない会社の株式を多額の資金で購入している(2)購入は参議院の公認候補に決まった直後のことだった−などの点から、投資ではなく議員側への資金提供で、税法上の交際費に当たると認定したとみられる。議員は当選後、このインターネット関連会社の経営から手を引いている。

 本紙の取材に対し、議員は「(株式売却時に)税務申告している」としたうえで、「会社への出資は設立の約1年前から交渉してきたことだ。(個人所有の)株を買ってもらったのは選挙に出る前だが、こちらから買ってくれと言ったわけではない。(選挙で)会社の責任者がいなくなるから、SBI側で(経営に)責任を持ちたいと持ちかけられた。問題のない取引だ」と話している。

 SBIホールディングスは自社のホームページで「税務調査を受け、当局の指導に基づいた修正申告、納税を実施済み」だと説明。取材に対しては「ホームページに記した以上、お話しすることはない」としている。

◆SBIホールディングス
 東証1部上場で、投資や証券などの金融会社を傘下に収める持ち株会社。北尾吉孝最高経営責任者(CEO)は、ライブドアが間接支配を狙ったフジテレビの筆頭株主となり、ホワイトナイト(白馬の騎士)として有名になった。1999年にソフトバンク・インベストメントとして設立後、合併・買収を進め、2005年に持ち株会社に移行した。ソフトバンクとの資本関係は今年8月に解消した。子会社にネット専業のイー・トレード証券や住宅ローンのSBIモーゲージなどがある。06年3月期連結決算は売上高1372億円、純利益458億円。


http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20061027/mng_____sya_____010.shtml