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崇敬者総代はこれまで、経済人や学識者、日本遺族会役員らが務めてきた。年に数回、総代会を開いて神社の予算や決算、運営方針を決めている。任期は3年。関係者によると、11月1日付の一部改選に合わせ、矢田部総長が加わるという。
矢田部総長は三嶋大社(静岡県三島市)の宮司を務め、04年に総長に就任。神社本庁と靖国神社との間には、一般神職の人事交流はあるが、トップの総長が靖国神社の総代になるのは初めて。
A級戦犯の分祀論に対し、靖国神社は「神道の教義上できない」との立場を表明している。麻生外相が8月に提言した国立施設化などについても、(1)神道儀式(2)神社の景観(3)「靖国神社」の名称——の3点を変えないことが受け入れ条件で、「非宗教化」には応じない方針だ。
神社本庁も、小泉首相(当時)の靖国参拝を機に高まりを見せる見直し論議に対し、「(分祀は)神社祭祀(さいし)の本義からあり得ない」「靖国は戦没者慰霊の中心」という見解を昨年表明し、側面から靖国神社を支援してきた。両者とも宗教性の堅持が考え方の基本にあり、今回の人事でこうした路線の強化を図る。
靖国神社は戦後、神道が国家管理から外れた後も、ほかの神社が集った神社本庁の包括下に入らずにきた。「いつか国にお返しする特別の神社」(靖国関係者)であることが理由だった。総長が総代に就任しても、靖国神社が組織として神社本庁に加わるわけではないが、両者の関係は密接になる。
http://www.asahi.com/national/update/1024/TKY200610240397.html