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電子チラシのサイトを見て夕食の献立を考える田中直美さん=東京都練馬区で
電子チラシが利用できるまで
東京都練馬区のパート店員田中直美さん(43)はパソコンを使う時、必ず確認するサイトがある。凸版印刷(本社・東京都)が運営する「Shufoo(シュフー)!」だ。隣の板橋区にある大型スーパー「サティ」のチラシを見ることができる。
田中さんは4人家族。生活用品をサティでまとめ買いする。だが、店までは車で約30分と遠く、チラシは購読している新聞に入らない。電子チラシと近くのスーパーの折り込みチラシを見比べることもしばしばだ。
イトーヨーカドーは04年から、北海道から広島県まで全約180店のチラシを電子化してホームページに掲載し始めた。新聞に折り込みチラシを入れた日は、同じ内容をサイトでも閲覧できる。折り込みの配達地域外だったり、新聞を読まなかったりする客から「ネットでもチラシが見たい」という要望があったのがきっかけだった。
イオンも04年から自社サイトに電子チラシを掲載し始めた。傘下のジャスコやサティなど各店のチラシや季節ごとのカタログが確認できる。
「シュフー」はこの2社など約100社の約5000店のチラシを掲載している。「主婦が毎日利用するサイトをめざした」(凸版印刷)という。
大日本印刷(本社・東京都)も01年に電子チラシサイト「オリコミーオ!」を開いた。掲載している店舗は約2500店。年内に3000店に増やすことをめざす。
同サイトには健康、料理、子育てなどテーマごとに外部のブログを検索する機能がある。関心が高いテーマを集めることで利用者の増加を図る。
神奈川県内に多くの店舗を構えるスーパー「富士シティオ」や、スポーツ用品大手「ヴィクトリア」、家具やインテリアが中心で北海道から全国展開する「ニトリ」など、電子チラシの利用は規模や業種を超えて広がっている。
スーパー「サミット」は00年11月のホームページ開設時からチラシも掲載している。客が登録(無料)すると近所の店舗のチラシが表示される仕組みで、登録会員は約2万1000人。一方、常連客のほとんどがつくるポイントカードの会員は約120万人。登録会員はその2%足らずだ。
折り込み代理店大手の朝日オリコミによると、首都圏で今年5月の1カ月間に折り込まれたチラシは主要全国紙の平均で1紙あたり627.7枚。前年より3%増えた。景気回復を追い風にスーパーや求人が好調で、枚数は過去最高水準で推移している。
鍋島裕俊・朝日オリコミ社長室長は「新聞を読まない層に電子チラシが普及し始めている」と認める一方、「何もしなくても毎日届き、持ち運びもできる紙の便利さが電子チラシをまだ上回っている」とみる。スーパー各社も「新聞の購読率がよほど下がらない限り、折り込みチラシを減らすことはない」と口をそろえる。
パソコンがないと読めない欠点を補うため、各社が期待するのが携帯電話への配信だ。凸版印刷と大日本印刷は今夏以降、相次いでこのシステムの提供を始めた。イトーヨーカドーは大井町店(品川区)や大和鶴間店(神奈川県大和市)など36店で情報を携帯電話にメールで送るサービスを実験中だ。
サミットも携帯電話に配信し始めたが、内容はその日のおすすめの1品に絞っている。「紙のチラシが持つ、全体を見渡す機能にはかなわない」(石井正明取締役)とみて使い分ける戦略だ。