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[ソニー充電池]「後手に回った対応が傷を広げた」
日本を代表する企業・ソニーへの信頼が揺らいでいる。
ソニー製充電池(リチウムイオン電池)を搭載したノート型パソコンが発火する事故が相次いだ。充電池の製造過程で、金属粒子が混入したのが原因とされる。
ソニーは問題の充電池をリコール(自主回収、無償交換)する。回収数は、全世界で1000万個規模に達し、そのコストは約500億円に膨らむ。
ソニーの対応は鈍かった。問題が初めて明らかになったのは、昨年11月の米デル製パソコンの発火だが、調査を怠り、公表もしなかった。今年8月、デル製パソコンが再び発火した時も、対応をデル側にゆだねてしまった。
その後、米アップル、中国レノボなどのパソコンでも事故が発覚し、全面リコールに追い込まれた。
パソコンの発火事故は、消費者の安全を脅かすだけではない。パソコンが航空機内などで発火すれば、重大事故を誘因する危険もあった。対応が遅れて、被害を拡大させた責任は極めて重い。
最優先課題は、事故原因を早期に究明し、再発の防止を徹底することだ。
ソニーは、12月に発売する次世代DVDのブルーレイディスクレコーダーの録画機能に最先端技術を搭載できず、次世代家庭用ゲーム機「プレイステーション3」の欧州発売も延期した。「技術のソニー」の看板が揺らいでいる。
産業界は、「ソニーだけの問題」と軽視してはいけない。
パロマ工業のガス瞬間湯沸かし器での一酸化炭素中毒事故や、シュレッダーで幼児が指を切断する事故など、最近、製品事故が相次いでいる。
経済産業省は今の臨時国会で、「消費生活用製品安全法」を改正する方針だ。製品トラブルが原因で死亡や火災などの重大事故が起きた時には、報告を義務付け、事故概要を公表し、再発防止策を取る内容を盛り込んでいる。
行政の対応の見直しは当然として、もっとも大切なのは、消費者保護を最優先するメーカーの姿勢である。
事故が発生した場合、被害の拡大を防ぎ、早期に再発防止策を取る——。そんな基本の重要性を、すべての企業が改めて、認識しなければならない。
ソニーは今期業績見通しを大幅に下方修正した。ソニー製充電池をパソコンに搭載した東芝は、損害賠償請求も検討している。最初の対応を誤ると、大きなツケを払わざるを得なくなる。
日本の技術力は、製造業の競争力の源泉として、経済成長を支えている。失った信用を早く取り戻してほしい。